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パーツ持ち込みのコンポーネントTL Typeの一例

ご依頼主様がセレクトした―パーツを当店で組み立て調整を行ったTL Type。

「ボディ、ネック、電気パーツ等それぞれお客様がセレクト、組み立てと必要な調整は専門店に依頼」というスタイルでほしい仕様のギターをゲットすることを考えている人は多いかと思います。テレキャスタータイプやストラトタイプは海外からのボディ・ネックの取り寄せも含めればかなりマニアックな仕様も実現可能で面白い選択肢ではあります。その一方でパーツ同士が微妙に合わない、木部加工を間違えたなどの失敗は多く、意外とハードルは高いとも言えます。自分ですべてやってみるのも一つの楽しみではありますが、「難しい箇所は無理をしないで部分的にショップに任せる」というのも良いかと思います。

上画像はほとんどのパーツをご依頼主様ご自身が用意、持ち込みで当店で組み立てと必要な調整を行ったテレキャスタータイプです。以下今回のポイントを紹介します。コンポーネントにご興味がある方の参考になれば幸いです。

完成した本機のサウンドチェック動画。

まずはクリーン。アンプはFender Vibro Kingでエフェクトなし。弦はエリクサーのOptiweb10-46でレギュラーチューニング、弦高はこのスタイルのギターとしては低めのセットアップ。

 

クランチ。歪はWEEHBO Effekte JTM Drive。

 

先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。

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オーバーホールしたFender Japan JV Serial TC’72-65 Telecaster Cutom

当店でオーバーホールさせていただいたFender Japan 黎明期テレキャスターカスタム!

上画像は当店でオーバーホールさせていただいたFender Japanの最初期製造品JV SerialのTelecaster Custom(おそらく型番TC72-65)です。現オーナー様は最近本機を譲り受けたとのことで、「まずはちゃんと弾ける状態にしてしばらく弾きこんでから必要に応じて今後どうするか考えてゆく」という方向性でオーバーホールさせていただきました。フレットの凹みが結構あり交換しても良い状態ではありましたが、とりあえずはフレット擦り合わせで対処。PU以外の電気パーツは無事なものもありつつ劣化で動作不良が多々あったので安心のため新品に総入れ替え・再配線。あとは錆びたビスも全て新品に交換し、ブリッジやペグは分解してクリーニングしました。

サウンドチェック。まずはクリーン。アンプはFender Vibro King、エフェクトなし。

もう一本クリーン。こちらは指弾きでアンプの前にごく軽くオーバードライブ(WEEHBO Effekte JTM Drive)をかけています。

クランチ。歪はWEEHBO Effekte JTM Drive。

先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。

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Fender Japan STR-90LS 1992~93年製のメンテナンス

フレット擦り合わせ等の調整とサーキットのノーマライズを行ったFender Japan ストラト。

こちらは当店で調整をやらせていただいた1992~93年製造のFender Japan STR-90LS Stratocasterです。ローズウッド指板のもの(STR-85LS)は時々中古市場でも見かけますが、本機はショップオーダーのメイプル指板仕様、カタログ外モデルのためかなりレアではないかと思います。22フレット仕様、やや緩い指板R、Eric Claptonの使用で当時人気だったLace Sensor PU、USA Fenderの看板モデルだったAmerican Standard Stratocasterと共通の2点支持トレモロ、ミッドブーストサーキット搭載という当時としては最先端なストラトでした。しかし、約30年経過するうちにミッドブーストが機能しなくなったりフレットの浮きが生じたりなどの問題も起こっていました。今回行った主なメンテナンスは以下の通り。

①浮いたフレットの補修とフレット擦り合わせ

②ミッドブースト撤去、スタンダードなストラト配線へ変更

③シールド処理 再施工

④トレモロのフローティングセッティング含む基本調整

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Fender Jaguar 改造例: 3PU化/プリセットロー・ハイカット配線/他

Fender Jaguarの3PU化、プリセットコントロールをプリセットLow/ High Cutへ変更する改造をやらせていただきました。

上の画像は当店で改造させていただいたFender Japan JG66 JAGUARです。JAGUARはもちろんJazzmasterタイプにも採用できる改造例として紹介いたします。

主なポイントは以下の通り。

①センターPUを増設、3PU仕様に。それぞれのPUのOn/Offスイッチは下側のプレートに配置。

②プリセットコントロールはフロントPUのみではなくすべてのポジションに効くプリセットローカット・ハイカットコントロールに変更、ハイカットとローカットを自由に組み合わせたサウンドをスイッチ切り替えで呼び出せるようにする。

③JaguarやJazzmasterの欠点を軽減するための調整。

3PU化によって守備範囲はかなり広くなりました。Low CutとHigh Cutを自由に組み合わせて1アクションで呼び出せる新しいプリセットコントロールも使い手のある装備になったと思います。

サウンドチェック。最初にクリーン。アンプはFender Vibro King。

 

クランチサウンド。歪はWEEHBO Effekte JTM Drive.

 

先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。

 

以下詳細。

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Gibson ES-330にBigsby B3を取り付け前後のサウンドチェック


ギターのボディトップにネジ穴を開けずに比較的簡単に取り付けできるBigsby B3をGibson ES-330に取り付けるご依頼をいただきました。取り付けの前後でサウンドの変化に興味がある方は多いと思いますが、今回取り付け前後でサウンドチェックしてみましたので以下ご参考まで。

あくまで主観ですが、結果は「音は大きくは変わらないものの、低音が強くなった感じがしたのと(特にフロントPUで感じた)、高域のチャキチャキチャリチャリした感触が少し増えた感じがしました。以前Bigsby B7が搭載されたES-330を所有していて、それについてはBigsby 未搭載との差をかなり顕著に感じたのを覚えていますが、今回のB3については比べて小さな差異でした。B3はもともとB7に比べユニットが小さいですし、サドル部分での弦の角度が非常にかなり緩くなるので大きく違って当然かとは思います。もしBigsby取り付けする場合、「取り付けは比較的簡単で音色の変化は少ないB3」、「取り付けの手数は多いが音色変化は顕著なB7」というのを念頭に置くと良いと思います。

今回のES-330の場合、オリジナルの状態ではブランコテールピースでもともとブリッジサドル部の弦の角度は緩めでしたが、Bigsby B3に交換した結果その角度はさらに緩くなりました。理論上はサステインが少し減少していそうですが弾いていた感触ではそれはあまり感じませんでした。元々フルアコ構造という事もあってちょっと音量を上げるとフィードバックするギターですのでアンプを通した演奏では生音サステインの弱さはあまり欠点にならないと思います。

サウンドチェック。アンプはFender Vibro Kingでアンプ直。ボリュームを絞っている箇所では目盛り9で弾いています。トーンはフルのまま固定。まずは取り付け前。

 

取り付け後。

B3取り付け後のブリッジサドル部の弦の角度は6弦の実測で6.5°くらい。弦高は1弦12フレット1.3mm、6弦は1.8mmにセッティング。かなり緩い角度ではありますがこの状態で弦の振動も正常(ビリツキやブリッジとトレモロの間の弦に振動が逃げない)です。

大分前に撮ったものですが、B7ユニット搭載のES-330の動画もあったのでご参考までに。

このES-330は新品時からB7が搭載されていました。B3はボディサイドのみの固定ですが、このB7はボディトップ側にもしっかりネジ止めが行われていたことからボディ内側にそのネジを受け止めるブレーシングや柱的なブロックなどがあったと思われます。元々ブランコテールピース仕様のES-330やCASINOの場合はそれらはなく、ボディトップにいきなりネジ止めするのは心もとない構造でお勧めできませんが、ねじ止め不要でB7ユニットを取り付けできるVibramateという付加パーツを使用すれば取り付け可能で、直にねじ止めとはまた違った音にはなると思いますが、それでもユニットの構造上はB3に比べてより顕著に音色の差は出ると思います。ES-330やCASINOで「リードも弾きたいけど、音が軽やかすぎてイマイチ」と思っている人はB3よりもB7ユニットを搭載させたほうがそれらを解消する方向への音色変化を期待できると思います。