2ハム仕様にカスタマイズしたFender Professional Jaguar。
当店Heavy Gauge Guitarsにて2シングルPUのJaguarを2ハムPU仕様にカスタマイズした例を紹介します。上画像がそのJaguar。元になっているのはFender Professional Jaguarで、ご依頼主様が選定した交換パーツとともに当店い持ち込み、当店にて必要な木部加工、配線、組み込みと基本調整を行わせていただきました。ご依頼主はハムPUによって元のシングルPUよりも太くパワーのあるサウンドをご所望、期待通りにサウンドを得ることができていますが、部分コイルタップ切り替えも装備したのとボリュームとトーン部分はオリジナルのままでトレブルブリードボリュームによってボリューム操作でトレブルが効いたサウンドも呼び出しやすいJaguarらしい高域の効いたサウンドも健在のままの仕上がり、以下詳細。
ボディは搭載するハムPUに合わせてシングルコイルサイズだったザクリを拡張、元々のザクリ内の塗装を一度剥がしてシールド塗装をやり直ししました。
配線を終えて組み込んだところ。ピックガード裏の銅箔は元々ご依頼主様ご自身で張られていたものをそのまま継続利用。それぞれのPU周りの4つの六角ナットでエスカッションを固定しています。演奏中の振動で六角ナットが緩まないようにねじ止め剤で補助固定もしてあります。
ピックアップはリアがSeymour Duncan TB4 JB、フロントはGOTOH HB-Customがご依頼主様によってセレクトされています。 ピックガードは元々ご依頼主様が交換されたものをそのまま継続利用。エスカッションマウントはご依頼主のご希望による仕様で、ピックガードを貫いて木部にねじ止めするのではなく、ボルトナットでピックガードに固定する方式(一つ前の画像の六角ナットがそれ)で取付けました。メンテナンスで電気部分を見直す際にピックガードを外すことでピックアップも一緒についてくるのでメンテナンス性は良好。 バズストップバーもご依頼主様が先に導入され取り付けていたもの。ブリッジは通常と反対向きにセットしていますが、これはバズストっプバーの導入によってオクターブビスの頭が過度に弦に干渉する不都合に応じた処置。これに伴い、1弦のオクターブビスの先端がそのままの長さでは弦に干渉しやすくもなるのでやや短いものに交換。
ポジションセレクターのレバースイッチはオリジナルでは4wayで「リアシングル」⇔「Mix(パラレルシングル)」⇔「フロント」⇔「Mix(シリーズ接続)」となっていましたが、2ハム化に際して3wayに変更、もっとも一般的でなじみやすいと思われる「リア」⇔「Mix」⇔「フロント」に変更。 ボリュームとトーンはオリジナルのまま、PU交換とシールド処理のやり直しに伴ってアース線のみつなぎ直ししています。
オリジナルではMixポジション時のフェイズ切り替えスイッチだったスライドスイッチは両PUをハムバッキングから部分コイルタップに切り替えるスイッチに変更、 スイッチ右側がノーマルのハムバッキングサウンド、左側が部分コイルタップ。「部分コイルタップ(partial split coil)」というのは通常のコイルタップでは片方のコイルを完全にカットするところを目的のサウンドにより近づけるために部分的にカットするという配線方法です。今回はフロントはタップ側のコイルを1/2だけカット、リアは2/3だけカットされるようにしました。カットする量は実際に音を出しながら検討して決めています。結果として、ハムバッキングから部分コイルタップを切り替えて音量が急激に小さくならず、通常のコイルタップやパラレルに比べて太いサウンドになっています。もっとも通常よりも音色の変化幅が小さくなり、その分演奏する環境(アンプ等機材の種類、セッティング、音量)や演奏内容によって聴感上の効き具合も異なってきます。実際の音色の変化を考えるとハイゲイン時はブーミーになりがちなローをすっきりさせる、クランチやクリーンの時はコードの響きをさわやかにするといった用途のローカットスイッチのようにとらえても良いかも。そういえばオリジナルのJaguarにもローカットスイッチがありました。
サウンドチェック。
まずはクリーン。アンプはFender Vibro King、エフェクトなし。
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クランチ。歪はWEEHBO Effekte JTM Drive。
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先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。
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