「修理・調整例/リぺア・メンテナンス例」カテゴリーアーカイブ

フレット交換Before/After 1980年製Gibson Les Paul Standard

Gibson Les Paul Standard、カラマズー工場最終期の1980年製のフレット交換を実施。

フレット交換例の紹介。ギターはGibson Les Paul Standard、1980年製です。現在のナッシュビル工場の前のカラマズー工場で生産されたレスポールでラージヘッドに3ピースメイプルネック、PUはパテントナンバーが刻印されたものが搭載されています。

もともと打たれていたフレットは幅が約2.8mmのワイドフレットでしたが、過去の擦り合わせによるものか、あるいは最初からそうだったのか(いわゆる「フレットレスワンダー」だったのか)、かなり低く平らになっていました。今回はご依頼主様が試してみたかったというJescarのナロージャンボ(ナローハイ、型番55090、幅2.28mm、高さ1.40mm)に交換しました。 続きを読む フレット交換Before/After 1980年製Gibson Les Paul Standard

1ピース ローウッドネックTL Thinline Type

メンテでお預かりしたコンポーネントTLシンライン。珍しいローズウッドネック。

1ピースローズウッドネックのTL Thinline Typeをメンテナンスでお預かりしました。珍しい仕様なので、レポート。

大まかな仕様は以下の通り。

アッシュボディ、ホロウ構造、ハードなエイジド加工

1ピースローズウッドネック、21フレット、無垢牛骨ナット、クルーソンペグ

Joe Bardenブリッジプレート&ブリッジ(ブラスサドル)

Fender Custom ShopのPUビルダーJosefina CamposのTwistedTele PU、CTS Custom POT(A250kΩ)、Jupiter Capaciter(0.05μF)、Cloth Wireによる配線、4点レバースイッチ(通常の3点のポジション+シリーズ接続)

本機は既製品ではなく、持ち主様がこだわりぬいたセレクトのパーツを集めて組み立てられたコンポーネントギターです。ヘッドにFenderのロゴは貼ってありますが、これは遊び心で張ったもの。ネックは米国の有名パーツブランドのFenderライセンス品。ボディも同様でエイジド加工も加えたうえで組み上げられています。今回ネック回りのメンテナンスでお預かりして、当店でフレット擦り合わせとナット交換(Task製を無垢牛骨製に)と全体的な基本調整をさせていただきました。

音の傾向としては軽やかでシャッキリした感触。アッシュボディのギターは個体差が大きく、音色の典型傾向は一つではないですが、経験的に本機の音もシンラインタイプでは典型サウンドの一つかと思います。ローズウッドのネックという特異性もありますが、とびぬけてメイプルネックシンラインタイプと差がある感じではありませんでした。しいて言えばメイプルネックよりもすっきりした音像のようにも思いました。

サウンドチェック。まずはクリーン。アンプはFender Vibro King。アンプ直。EQは少し中低域側の強調にセット。

 

クランチ。歪はWEEHBO Effekte JTM Drive。

 

先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。アンプの前だと少しハウリングするくらいのゲイン設定にしています。

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TL Thinline Type コンポーネント制作

お持ち込みいただいたパーツを組み上げて完成したTL Thinline Type!

こちらはご依頼主ご自身が集めたボディ、ネック、PU等のパーツを当店がお預かりしてコンポ―ネント、調整をさせていただいたシンラインタイプです。パーツ持ち込みでの制作例・調整例としてご紹介します。大雑把な仕様は以下の通り。

・木材構成はサーモウッドメイプルネック、ジリコテ指板、ボデイはフレイムメイプルトップ、マホガニーバックのシンラインタイプのホロー構造。

・エイジド加工されたボデイ、ピックガード。

・PUはSeymour Duncan SH18の2ハム仕様、通常の2PUテレキャスコントロールにリアのみシリーズ/パラレル切り替えのミニスイッチを増設。ケーブルはノンシールドタイプで配線。

・金属パーツはすべてゴールドを基調としたセレクト。

 古いレスポールのようなサンバースト塗装のボディと金属パーツの組み合わせが上品な印象ですが、金メッキは劣化しやすいので、しばらく使うとボディのエイジド加工によりマッチしてきて違った魅力も出てきそうです。

サウンドチェック。まずはクリーンサウンドから。アンプはFender Vibro Kingでアンプ直。

 

クランチ。歪はWEEHBO Effekte JTM Drive。

 

先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。

 

「ジリコテ指板」「サーモウッドネック」という組み合わせは初めてだったのですが、違和感ようなものは全くなく、クリーンでも歪でも、あるいは生音でも気持ちよく弾ける音に仕上がったと思います。2つののハムバッカーの組み合わせだけでも楽しめますが、リアのパラレルがサウンドバリエーションを加えているところも面白いです。リアパラレルのみだけでなく、リアパラレルとフロントのミックスサウンドやリアのトーンを絞った音なども私にとって気持ち良いポイントが多く興味深い仕上がりになりました。

弦はDaddario EXL110(10-46)でレギュラーチューニング、弦高は1弦12フレット1.3mm、6弦は1.8mmに調整してあります。

以下、各部詳細。

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フレット擦り合わせ Before After ⑤

メイプル指板のストラトのフレット擦り合わせ例。一番顕著な凹みが見られたローポジション。このあたりの擦り合わせ後のフレット高さ(指板表面からの高さ)は0.8mmほど。切削量は0.1~0.15mm未満。

フレット擦り合わせBefore/Afterの5例目はFender Japanの54年タイプストラト。メイプル指板にヴィンテージスタイルの細いフレットが打たれたギターです。当店に持ち込まれた際の持ち主様の訴えは「いくらチューニングをしても音程が合わない」「やたらと音づまりやビリツキが出るので弦高をどんどん高くしていったが、調整しきれない」というものでした。点検したところ、以下の症状を確認。

①極端なネックの順反り。トラスロッドの余裕が十分ではなくトラスロッドだけでは適切な状態にできない。

②交換されたナットの弦溝が浅すぎて1弦の弦高が極端に高く、6弦1フレットを押さえると1音近く音程がシャープしてしまう

③フレット摩耗はローポジションのプレーン弦側は顕著

④ハイポジションはかなりの弦高(1弦12フレット2.2mmくらい)にしても1弦ハイポジションの1音チョーキング時に音が完全に詰まってしまう。極端な反りで「ハイ起き」と同様の状態。

 フレットの摩耗量もまあまあありましたが、それ以外の部分がかなり問題でした。元々オークションで入手したとのことで以前のオーナーさんも自分で調整・修理しようとして断念して売りに出したのかもしれません。

今回フレットの摩耗は2フレットが最もありました。減りの程度としては中程度~重度でしたが、演奏性も含めて考えるとぎりぎりフレット擦り合わせ適応と判断しました。次はフレット擦り合わせではなく、フレット交換をした方が良いと思いますが、それまで十分弾きこめる状態を確保できています。また、ネックの順反り調整の補完のために若干程度の減りだった15フレット以上のハイポジションも敢えて多めに擦り合わせしています。これによって最終的に1弦12フレットの弦高を1.6mmくらいまで下げても1音チョーキングくらいは問題なく、1音半チョーキングではビリツキが出るものの、詰まりはしない程度までになりました。

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フレット擦り合わせ Before After ④

フレット擦り合わせBeforeAfterの4例目。今回もレスポールタイプ。

フレット擦り合わせの例 Before/After④、今回も②③に引き続きレスポールタイプです。今回のレスポールはGibson Custom Shopの54年モデル。かなり弾きこまれたギターでフレット交換が行われている上にすべてポジションにわたって摩耗、押弦による凹みができているという演奏性にもかなり難アリな重症でした。上の画像は7フレットの擦り合わせ前と後の比較で一番減りが顕著だった箇所。このポジションの擦り合わせ前の凹みのない箇所でフレット高さが1.2mm弱、フレット擦り合わせ後は1.1mmくらいに仕上がっています。なるべく削量が少なくなるように時間をかけて丁寧に擦り合わせを行い、すり合わせ前の凹みの底部の高さと他の部分が同じになるように擦り合わせています。これによって押弦時の指先と指板の距離は変わらず、押さえた感触に違和感はありません。勿論、フレットの形も整え、全体の凹凸もなくなることで演奏性は劇的に向上しています。

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