「修理・調整例/リぺア・メンテナンス例」カテゴリーアーカイブ

アコースティックギター基本調整Standard+サドル底面切削による弦高修正の例

基本調整とサドル修正でお預かりしたHistory NTS3。この画像がすべての作業を完了した状態。

上画像はHeavy Gauge Guitarsの「アコースティックギター基本調整Standard」とオプションの「サドル底面切削による弦高修正」をやらせていただいたHistory NTS3です。ご依頼主様のご許可を頂き、アコギの基本調整の例としてレポートさせていただくこととなりました。アコギの調整をご検討されている方のご参考になれば幸いです。

Heavy Gauge Guitarsでのアコースティックギターの基本調整Standardコースの主な内容は以下の通り。

  1. 弦張替え
  2. ネック調整(トラスロッド調整)/弦高調整
  3. ペグ等ねじ止め部のチェック、調整
  4. フレットの鏡面研磨
  5. 指板クリーニング・コンディショニング

 当店ではご依頼主様が気にしている箇所等ヒアリング、実機の点検を行った上で持ち主様のご要望を実現するための処置方法の提案(選択肢の提示)をさせていただいております。今回は「弦高を下げたい」という強いご希望もあり、上記メニューだけではは不十分と考え、追加オプションのサドル底面切削による弦高修正も提案、実施させていただきました。以下レポートします。 続きを読む アコースティックギター基本調整Standard+サドル底面切削による弦高修正の例

フレット交換させていただいたGibson Les Paul StanDard 1977年製

Heavy Gauge Guitarsにてフレット交換させていただいたGibson Les Paul Standardのレポート。

 上画像は1977年製のGibson Les Paul Standardです。この時期独特の3ピースメイプルネックに横幅の広いラージヘッド、鮮やかなチェリーサンバースト塗装がボディトップ以外にも施されているといった仕様は一般的に親しまれているLes Paul Standardとは一線を画すものかと思います。この時代はその材料構成もあり重量がある個体が多かったようですが、本機も実測4.7kgとなかなかのヘヴィ級。昨今軽量なギターの音が良いともてはやされる傾向がありますが、実際には「軽ければ音が良くて重いのは音が悪い」ということは全くありません。70年代80年代に流行した重たいギアーでも意外とバンドで使いやすい音だったりしますし、リードプレイに好都合な中低域のサステインに優れているものも結構見かけます。

 話がそれました。以下レポートする77年製Les Paulは当店でフレット交換させていただいたものです。フレットは国産の高硬度ニッケルシルバーフレットのナローハイタイプ、ナットはCamel Bone削り出しで制作。他には錆対策としていくつかのビスをステンレス製に交換。現持ち主様は本機を中古でご購入されており詳細は断定しかねますが、ピックアップをはじめ主だったパーツはオリジナルのままと思われます。以下詳細。 続きを読む フレット交換させていただいたGibson Les Paul StanDard 1977年製

フレット交換させていただいたFender Vintage Series 57 Stratocaster Made In Fullerton(1982~84年製)

珍しいFullerton工場時代のFender Vintage Series 57 Stratocaster.

 画像はフレット交換のご依頼でお預かりしていたFender Stratocasterです。ご依頼主様によれば「結構古いAmerican Vintageの57ストラト」ということだったのですが、見慣れているAmerican Vintage 57 Stratocasterのそれと少し異なること、配線材がFenderのヴィンテージ仕様復刻モデルで見慣れているClothwireでなくビニール被覆線で特にPUのケーブルについては同時期に製造されていたBulletなどで見られた線と同様のものであること、コンデンサがオレンジドロップであること、ネックに手書きされている製造日が判読できなかったもののPOTは1982年製のものだったことから、断定はできないもののFullerton工場で82年から84年にかけて製造されていたヴィンテージ復刻モデルだと推定しました。当時、それまで単なる「Stratocatser」として仕様変更を重ねてきた3点止めネックのストラトは本機の登場を契機に生産終了し、その後のストラトは本機と同じく4点が標準仕様となったことや、以降のヴィンテージ復刻モデルの継続製造などFender Stratocasterの歴史の中で大きな転換点となった機種だと思われます。今回ご依頼主様のご許可を頂いてレポートを掲載させていただくことになりました。ご興味ある方は以下もご覧いただければ幸いです。

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ウェンジネックのCharvel MJ Dinky24レポート

日本製のCharvel Dinky、エレキギターでは珍しいウェンジネック仕様。

上画像は当店でメンテナンスさせていただいたCharvel MJ Dinky DK24 HSH EMAH Naturalです。型番の意味するところは「日本製の24フレットネックのディンキー、ピックアップはHSH配列、エボニー指板にマホガニーボディ、材の木目を生かしたナチュラル仕上げ」といったところでしょう。ウェンジ材のネックは先駆者のwarwickをはじめIbanezなどのベースでは導入されて久しいですが、ギターでは珍しい仕様で興味深かったのでご依頼主様にご許可を頂いた上でレポートを残させていただくこととなりました。ご興味ある方は以下ご覧いただければ幸いです。

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ビザールギターのメンテナンス例:60年代後期製 Arai Diamond 1532T

60年代後半の短期間だけ製造されていたAraiブランドのギター、Diamond 1532Tのメンテナンスをさせていただきました。

 上画像は当店でメンテナンスさせていただいたArai Diamond 1532Tというギターです。ビザールギターファンの間では知られた機種だそうで、Fender JazzmasterやJagugar風のトレモロを搭載しているあたりは当時流行していたサーフミュージックを意識したのでしょうか。Araiブランドは荒井貿易のもので、その後はAria ProⅡというブランドに代わり現在に至っています。

 お預かり時は指板には音詰まり箇所が散見され、電気部分もスイッチは緩くなりすぎていて勝手に切り替わってしまう、ボリュームとトーンもガリなどがあり不調といった具合で音は出るものもその音色も何かがおかしいといった状態(ご依頼主様曰く「アンプから出る音がやけに引っ込んだ音」)。実際にアンプにつないでみるとやけにハイ落ちしており音量も極端に小さくなっていました。今回のご依頼は「とりあえずちゃんと演奏できる状態にしてからしばらく弾いて今後の判断をしたい」ということでした。そのためネックについてはフレット交換といった比較的高コストな処置はせずに浮いたフレットの補修とすり合わせ、ナット溝の修正と電気部分の見直しを実施。ご依頼主様は当初ピックアップの性質がイマイチな出音の要因と考えていたそうで、ピックアップも含めて電気部分は交換、互換性のあるパーツは入手困難であることから新たに取り付けるパーツに合わせてピックガードも新調することを検討されていたのですが、幸いピックアップ本体は生きていたことと、新しいスイッチも元のねじ穴を生かした取り付けが可能だったことからオリジナルのピックガードをそのまま利用して仕上げさせていただきました。

以下詳細

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