基本調整でお預かりしたOrville SGD-160ダブルネック 1994年製

ダブルネック!!

画像は基本調整でお預かりしたOrville SGD-160ダブルネックモデル1994年製です。もともと流通数が少ない機種で私自身目にする機会がなかなかなかったこともあり今回持ち主様にご許可いただいてレポートに残させていただきます。

OrvilleブランドではGibson PUを搭載したダブルネックもラインナップされていてそちらの方は型番も本家と同じEDS-1275だったようです。今回のSGD-160はEDS-1275とはPUが日本製であること、ネック裏にボリュート(GibsonやMartinといったヘッドに角度があるギターでネックの折れやすさを緩和する目的で設けられた補強)があること、12弦側のペグがFenderでみられる6連タイプ(EDS-1275はペグ一個につき2本のビス止めのところ、本機では6個のペグを7本のビスで固定)でヘッドの長さもやや短くなっています。今回は基本調整のみを行ったのですが、6弦ネック側のナットの5弦の溝が限界で開放弦がビリつきやすかったり、一部フレットの浮き上がりで低い弦高にはしにくい状態だったのですが、幸い持ち主様はそれほど低い弦高にこだわっておらず基本調整のみで演奏を楽しめる状態にできました。

個人的にネックが二本あるとややこしそうで弾きにくそう、何を弾いていいかわからないと思っていたのですが調整を済ませてサウンドチェックでいろいろ弾いてみるとこの仕様ならではの音がいろいろ出てきて意外と楽しく面白いギターでした。

以下各部。

ボディ。30年前のギターとしては大分きれいな状態。今回ボリュームとトーンのノブをリフレクターノブに交換した以外はオリジナル状態と思われます。PUは国産品で4発すべて同じものと思われます。コントロールはネックポジションとブリッジポジションにそれぞれひとつづつVolumeとToneでこれは通常のレスポールなどと同じです。二つあるトグルスイッチのうち6弦ネック1弦側カッタウェイ付近にあるのがPUセレクター(
Bridge ⇔Mix⇔Neck)。二つのブリッジの間のスイッチがネックセレクターで上側にすると12弦ネック、下側が6弦ネック、真ん中が両方のネックがOnになります。「両方のネックがOnなんて弾けないのでは?」と思うかもしれませんが、片側をオープンチューニングにするなどすると意外と幅広い演奏が可能かと思います(難しいとは思いますが)。ボディ上部表側のコンター加工があることで意外と抱えにくさを感じません。
テールピースがブリッジから離れてる仕様はEDS-1275を著名にしたJimmy Pageの所有機の仕様と同じで本機のポイントだそうです。その後に生産された本家EDSもコピーモデルもここは違っていることが多いようです。この仕様だとサステインが落ちやすいかと思いますが、ブリッジからテールピースの間の弦がシタールギターの共鳴弦のような役割もしそうで面白いです。ブリッジは一般的なABR-1タイプ。12弦ギターの場合、主弦と副弦の間の距離が狭すぎても広すぎても弾きにくいですが本機はちょうどよい感じでした。ちなみにサドル上の主弦と副弦の距離(主弦の中心から副弦の中心まで)は約2.8mm、ナット部は約2.0mmでした。
ピックアップは4発ともほぼ同じ抵抗直流値ですべて同じ国産品と思われます。12弦側はカバー付き。今回の調整で12弦側はその役割を考えるとPUと弦の距離は多めにとれた方が良かったのですがオリジナルの吊り下げビスだと短すぎてPUを弦から離すと外れてしまう状況だったのでリア側のみやや長い新しいビスに交換。
ボディ裏側。12弦側面のコンターがあるおかげで座って弾いてもそれほど弾きにくさはかんじませんでした。
ボディ側面。
2本あるネックはほぼ同じ仕様のようでした。素直に考えると12弦側は若干太くしたくなりそうですが・・・本家の方はどうなのでしょう。フレット数が20フレットなのも本機の特徴かと思いますが、この20フレットは通常のSGやLes Paulの22フレットよりも弾きにくく、「天国への階段」のソロの最後のチョーキングが私にはできませんでした(泣)。ハイポジションの演奏には練習が必要そうです。
ナット幅は6弦側と12弦側ほぼ同じで43mmくらいです。ナットは色が違ってはいますが側面に塗装が残っているのでオリジナルと思われます。
ヘッド。12弦側のペグはGOTOH SD-91(ストラトやテレキャスでよく見られる6連仕様のクルーソンタイプ)、6弦側は同じくSD-90です。兄弟機と言えるOrville by Gibson EDS-1275ダブルネックでは12弦側のペグはペグ一個につきビス2本でとめられていましたが、SGD‐160では片側6個のペグをFenderと同様7本のビスでとめているのでヘッドの長さもやや短くなっています。構造上12弦側の下側と6弦側の上側のペグの操作が混みあっていてやりにくいのはこのタイプのギターでは宿命かと思いますが、弦を巻き付けるときはワインダーや自動ペグ巻機は当然使えないので泣きそうになります。

最後にサウンドチェック。ダブルネックというとどうしても「弾きにくそう」「何を弾いていいかわからない」といった印象を持ってしまいがちですが弾いてみると意外と面白ものでした。大きなボディで重量があることや片側のネックが共鳴弦の役割をするなど通常のギターではお味わえないサウンドが楽しめます。

まずはクリーン。アンプはFender Vibro King。エフェクトなし。

 

クランチ。歪みはWEEHBO Effekte JTM Drive。

 

先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。

 

先のGain Boost時になんとなくOffのネックで演奏、Onのネックの共鳴音をアンプから出力が面白い音だったのでそれだけの動画も撮ってみました。バンド内では生かすのは難しいサウンドですがSE的には使えそうです。

 

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