フレット交換させていただいたTokai Les Paul reborn LS-100

Heavy Gauge Guitarsにてフレット交換をさせていただいたジャパンヴィンテージTokai LS-100 Les Paul Reborn。

上画像は1980年頃の製造と思われるTokai Les Paul Reborn LS-100です。当店Heavy Gauge Guitarsにてフレット交換をさせていただいたのですが、人気のジャパンヴィンテージTokai LPタイプの中でも希少な機種でそのサウンド等は興味深かったので今回持ち主様のご許可を頂いてレポートさせていただくことになりました。

 ボディはソリッド2ピースメイプルトップ、1ピースマホガニーバック、1ピースマホガニーのネックにローズウッド指板というオーソドックスな木材構成にABR-1タイプのブリッジ(サドルはブラス)、アルミのテールピース、クルーソンタイプペグ、PUはDimazio PAFという仕様です。今回フレットを日本製のジャンボフレット(三晃SBB-215 高硬度品)へ、ナットはCamel Boneに交換、その他エスカッションは交換されたものの可能性がありますがそれ以外はオリジナルスペックです。

 サウンドチェック。まずはクリーン。アンプはFender Vibro King、エフェクトなし。

 

クランチ。歪はWEEHBO Effekte JTM Drive。

 

先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。

 

 以下詳細。ご興味あればどうぞご覧ください。

 

 フレット交換前後のネック。Beforeの方はフレットが2本抜いてあります。これは当店ではフレット交換のご依頼を受けた際にその場でフレットを1,2本抜いて指板のフレット溝の幅、元々のフレットの足の厚み等を確認の上でなるべくそれに合うサイズの足のフレットからお好みのものをお選びいただくようにしているためです。今回打ち換えたフレットは三晃社製ですが、元々のフレットもおそらくは三晃製で溝のサイズはほぼジャストでした。
 フレット交換前の指板。指板面に傷や欠け、バインディングとローズウッド指板の収縮差による段差、Rの崩れ(次画像参照)など見られそれらの修正は必要でしたが、製造から40年以上経過しているギターとしては普通です。元々打たれていたフレットは幅広で背の低めのフレット。フレット端のバインディングの処置は本家と同じというところまで再現されていました。
 フレットを抜いて指板面の汚れを取り除いたところ。もともと指板Rは12inchくらいの設計だと思われますが、赤で囲った部位は盛り上がり気味、青の部位は凹み気味となっていました。また黄色線の部位は指板材とバインディングで段差が生じていた箇所。経年変化や摩耗でRが崩れた可能性も勿論考えられますが、実は指板のRはそれほどカタログ記載の通りでもなかったり、弦毎に見ると直線がしっかり出ていないこともよくあります。ナット幅とハイポジション側の指板幅が異なる以上、各弦ごとに直線を出せばロー側とハイ側でRが同じならないですし、ローからハイまで完全に同じRで切削してネック中心の直線を優先すると末広がりのハイポジション側の外側がより深く削れてしまい、外側は直線も崩れます。今回のLS-100の場合はハイポジションの外側が過度に削れていましたが、こうしたギター、ベースは珍しくありません。勿論、上画像で色を付けた個所は不都合がないように指板修正しました。
 指板修正、フレット打ち換え、仕上げまで済ませた状態(途中経過の写真を撮り忘れてしまいました。スミマセン)。打ち換え前に比べてフレットが綺麗なのは当然ですが、指板面もきれいになっているのがわかります。ナットはラクダ骨からの削り出しで制作、取り付け。ハイポジション側は盛り上がっていたため指板修正での切削量が比較的多く、22フレット付近にあったLS-100を表す「100」の刻印は消失して見えますが、よく見るとわずかに文字が残っています。指板修正で切削する量はトータルで最低限になるよう検討の上で切削しますが、今回の場合はハイポジションの中央よりと1弦側のローポジションはやや多めの切削で対処。とは言え、「100」の刻印の消え具合から多く見積もっても0.3mm未満といったところです。
 今回のフレット交換でフレットの両端はバインディングに乗る形に変わりました。勿論フレットエッジで手を傷つけたりしないようにしっかり面取り加工も加えて手触りの良さも確保。
 オリジナルのブリッジ。ABR-1タイプのブリッジは経年変化で中央側(3,4弦あたり)が落ちてきて指Rと合わなくなることがよくありますが本機もそれによって2~5弦の弦高バランスが1,6弦に比べて極端に低くなっていました。今回はそれの対処として1,2,5,6弦のサドルの溝を可能な限り掘り下げてブリッジRの修正を行いました。

 

 

います。 オリジナルで搭載されていたDimazio PAF。当時はPUの交換が流行り出したくらいのタイミングで、その選択肢としてよく取りざたされたPUの一つがこれだったと思いますが、最初からそれが搭載されているというのも本機の売りだったのだと思います。改めて音を出してみるとなかなか扱いやすい良いPUだと思いました。
 ヘッドには「Les Paul Reborn」と印字されていますが、Les Paulの書体は本家とほぼ同じ。時代を感じさせます。トラスロッドカバーもしっかりコピーされた形状。ペグのポストがやや低く、特に低音弦は弦の巻き方を工夫すル必要がありますが、これも本家に倣ってでしょうか?

 ジャパンヴィンテージの名機Tokai LS-100、今回の個体は重量約3.85㎏でLP Typeとしては軽量でしたが、しっかりとサステインがあるところはレスポールの感触ですし、心地よい響きで長く弾いていられました。マニアが探し回っているのもうなづけます。

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