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Fender Jaguar 改造例: 3PU化/プリセットロー・ハイカット配線/他

Fender Jaguarの3PU化、プリセットコントロールをプリセットLow/ High Cutへ変更する改造をやらせていただきました。

上の画像は当店で改造させていただいたFender Japan JG66 JAGUARです。JAGUARはもちろんJazzmasterタイプにも採用できる改造例として紹介いたします。

主なポイントは以下の通り。

①センターPUを増設、3PU仕様に。それぞれのPUのOn/Offスイッチは下側のプレートに配置。

②プリセットコントロールはフロントPUのみではなくすべてのポジションに効くプリセットローカット・ハイカットコントロールに変更、ハイカットとローカットを自由に組み合わせたサウンドをスイッチ切り替えで呼び出せるようにする。

③JaguarやJazzmasterの欠点を軽減するための調整。

3PU化によって守備範囲はかなり広くなりました。Low CutとHigh Cutを自由に組み合わせて1アクションで呼び出せる新しいプリセットコントロールも使い手のある装備になったと思います。

サウンドチェック。最初にクリーン。アンプはFender Vibro King。

 

クランチサウンド。歪はWEEHBO Effekte JTM Drive.

 

先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。

 

以下詳細。

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Gibson ES-330にBigsby B3を取り付け前後のサウンドチェック


ギターのボディトップにネジ穴を開けずに比較的簡単に取り付けできるBigsby B3をGibson ES-330に取り付けるご依頼をいただきました。取り付けの前後でサウンドの変化に興味がある方は多いと思いますが、今回取り付け前後でサウンドチェックしてみましたので以下ご参考まで。

あくまで主観ですが、結果は「音は大きくは変わらないものの、低音が強くなった感じがしたのと(特にフロントPUで感じた)、高域のチャキチャキチャリチャリした感触が少し増えた感じがしました。以前Bigsby B7が搭載されたES-330を所有していて、それについてはBigsby 未搭載との差をかなり顕著に感じたのを覚えていますが、今回のB3については比べて小さな差異でした。B3はもともとB7に比べユニットが小さいですし、サドル部分での弦の角度が非常にかなり緩くなるので大きく違って当然かとは思います。もしBigsby取り付けする場合、「取り付けは比較的簡単で音色の変化は少ないB3」、「取り付けの手数は多いが音色変化は顕著なB7」というのを念頭に置くと良いと思います。

今回のES-330の場合、オリジナルの状態ではブランコテールピースでもともとブリッジサドル部の弦の角度は緩めでしたが、Bigsby B3に交換した結果その角度はさらに緩くなりました。理論上はサステインが少し減少していそうですが弾いていた感触ではそれはあまり感じませんでした。元々フルアコ構造という事もあってちょっと音量を上げるとフィードバックするギターですのでアンプを通した演奏では生音サステインの弱さはあまり欠点にならないと思います。

サウンドチェック。アンプはFender Vibro Kingでアンプ直。ボリュームを絞っている箇所では目盛り9で弾いています。トーンはフルのまま固定。まずは取り付け前。

 

取り付け後。

B3取り付け後のブリッジサドル部の弦の角度は6弦の実測で6.5°くらい。弦高は1弦12フレット1.3mm、6弦は1.8mmにセッティング。かなり緩い角度ではありますがこの状態で弦の振動も正常(ビリツキやブリッジとトレモロの間の弦に振動が逃げない)です。

大分前に撮ったものですが、B7ユニット搭載のES-330の動画もあったのでご参考までに。

このES-330は新品時からB7が搭載されていました。B3はボディサイドのみの固定ですが、このB7はボディトップ側にもしっかりネジ止めが行われていたことからボディ内側にそのネジを受け止めるブレーシングや柱的なブロックなどがあったと思われます。元々ブランコテールピース仕様のES-330やCASINOの場合はそれらはなく、ボディトップにいきなりネジ止めするのは心もとない構造でお勧めできませんが、ねじ止め不要でB7ユニットを取り付けできるVibramateという付加パーツを使用すれば取り付け可能で、直にねじ止めとはまた違った音にはなると思いますが、それでもユニットの構造上はB3に比べてより顕著に音色の差は出ると思います。ES-330やCASINOで「リードも弾きたいけど、音が軽やかすぎてイマイチ」と思っている人はB3よりもB7ユニットを搭載させたほうがそれらを解消する方向への音色変化を期待できると思います。

ノーマルなテレキャスターでハムバッキングサウンドを出す改造例

ノーマルの2シングルコイルのテレキャスターの電気回路に工夫を加えてハムバッキングサウンド(シリーズ接続)を出す改造は比較的ポピュラーかと思います。シャープな音像が持ち味のテレキャスターですがここ一番というときに太い音が呼び出せるようになり表現の幅が広がります。実際どんな音になるかの参考として当店でその改造を行ったテレキャスターのサウンドチェック動画を紹介いたします。

クリーンサウンドでのチェック。動画前半は同じようなフレーズでノーマル(シングルコイル)とシリーズ接続(ハムバッキング)の音を比較、後半は通してシリーズ接続で弾いています。

クランチサウンドでのチェック。動画前半は通してシリーズ接続、後半はノーマルとシリーズを交互に弾いて比較。

 

今回の例ではToneノブを引っ張る(Pull)にすると二つのシングルコイルPUがシリーズ接続となるハムバッキングサウンドに切り替わります。ハムバッキングサウンド時は3wayスイッチはキャンセルされます。対象のギターはFender Japan のEシリアルのテレキャスター、PUは現行USA Fenderの64Telecasterセットとなっています。

この改造の詳細については以下紹介。 続きを読む ノーマルなテレキャスターでハムバッキングサウンドを出す改造例

Ibanez AR-500CS オーバーホール例

レア機種、Ibanez AR-500CSのオーバーホールをやらせていただきました。

当店でオーバーホールをやらせていただいた1982年製のIbanez AR-500CSです。もともとは3Band EQやブースターを搭載したアクティブサーキットでしたが、今回はご依頼主様と相談の上、比較的シンプルなパッシブサーキットへ変更。と言っても3wayミニスイッチも搭載していてハムバッキングサウンド+2種類のシングルコイルサウンドが選択できサウンドバリエーションは豊富です。フレットはジャンボフレットへ交換、同時にナットも新調、ネックのねじれもありましたが指板修正でこれを解消、さらに経年劣化で収縮しボロボロに崩れていたボディとネックのバインディングを補修・補強しました。

サウンドチェック。

クリーン。アンプはFender Vibro Kingでエフェクトなし。ブリッジ下のブラスサステインブロックの効果か音が良く伸びます。

 

クランチ。歪はWEEHBO Effekte JTM Drive。

 

先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。

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Greco/Roland GR G-808のテールピースのカスタマイズ

ブラス削り出しテールピースに木材を貼ったテールピースをカスタマイズ。

ギターシンセの黎明期にGreco Rolandブランドで販売されていたGR G-808のテールピース(上画像の赤で囲った部品)のカスタマイズ・修理をさせていただきました。需要は少なそうですがせっかくの施工例だったので以下紹介。

オリジナルではブラスを削り出したテールピースの上部にフラットな木材の飾り板を単純に貼っただけの仕様だったそうですが、お預かりの時点ではこの木板は剥がれてしまっており、テールピースの上面の平らな面にあまり美しくない接着剤の痕がむき出しになっていました。そのままでも使用上は問題なかったのですが、今回当店で新しく木材の飾りを貼り付け、形を整えるという作業をやらせていただきました。ただ板を貼るだけだと板の端角が手にあたるとのことでレスポールタイプのような一般的なテールピースの形状のような丸みのある形にアレンジしました。

こちらはネットで拾ったGR G-808の画像。(今回の実機の施工前の画像は撮り忘れてしまいました・・・)テールピースの上面に平らな薄い木材の板が貼られています。
こちらはカスタマイズ完了したテールピース。上部はローズウッドを削り出して画像の通り丸みをつけた形に加工したのがポイント。ローズウッド部分は塗装はせず指板用のオイルと木部用ワックスで仕上げてあり手触りも良好です。自画自賛になってしまいますが、見た目も高級感がオリジナルよりもいい感じでは・・・。ブラスのベース部分は表面がくすんでいたので軽く表面を研磨してありますが、ギターに取り付けた際に他の部品との兼ね合いで研磨材は使用せず敢えて紙やすりの擦過痕を残しています。
反対側から見たところ。オリジナルは木目の方向は弦と同じ方向なのですが、今回は弦と垂直の方向にしてます。この方が耐久性もあると考えての処置です。
側面。ブラス部分と木部の境界部は面をしっかり合わせてあるので引っ掛かりはありません。面があっていることで一体感があります。
ギターに乗せてみたところ。テールピースの木部にローズウッドを選んだのはピックアップカバーと色合いが近く、木目の方向をボディの木部と揃えなくても見た目のバランスも問題ないでしょう。画像でも違和感なく自然に収まっているように見えます。

今回のような「金属と木材を貼り合わせる」という種類のギターパーツのカスタマイズ・修理の需要は非常に少なく、当店を含めどこのリペアショップでも修理メニューには載っていませんが、メッキ加工してあるものを除く金属と木材の組み合わせであれば可能な場合があります。もし同様のカスタマイズのご要望あれば遠慮なくご相談ください。