フレット擦り合わせ Before After ④

フレット擦り合わせBeforeAfterの4例目。今回もレスポールタイプ。

フレット擦り合わせの例 Before/After④、今回も②③に引き続きレスポールタイプです。今回のレスポールはGibson Custom Shopの54年モデル。かなり弾きこまれたギターでフレット交換が行われている上にすべてポジションにわたって摩耗、押弦による凹みができているという演奏性にもかなり難アリな重症でした。上の画像は7フレットの擦り合わせ前と後の比較で一番減りが顕著だった箇所。このポジションの擦り合わせ前の凹みのない箇所でフレット高さが1.2mm弱、フレット擦り合わせ後は1.1mmくらいに仕上がっています。なるべく削量が少なくなるように時間をかけて丁寧に擦り合わせを行い、すり合わせ前の凹みの底部の高さと他の部分が同じになるように擦り合わせています。これによって押弦時の指先と指板の距離は変わらず、押さえた感触に違和感はありません。勿論、フレットの形も整え、全体の凹凸もなくなることで演奏性は劇的に向上しています。

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Fender JAPAN TL52-80SPL (Sold Out)

フジゲン製造期のFender Japan TL52-80SPLフルメンテ済み!

フジゲン製造、1993~94年製のFender Japan TL52-80SPL、当時のカタログには載っていなかったヴィンテージナチュラルです。当店入荷時、フレットの摩耗、弦による凹みによるビリツキ、ナットの過度な摩耗、ボリュームやスイッチのガリなどありましたが、今回の出品にあたってこれらのフルメンテナスを実施しており弾き心地良好に仕上げております。また、外観はブリッジやペグなど金属パーツのメッキにクスミや傷がありますが、製造から経過年数のわりにきれいに保たれています。フロントピックアップはSeymour Duncan SH-1(’59)にアップグレードされていますが、そのカバーの汚れ具合が渋い雰囲気を醸しています。塗装部もよく見ればごく小さな打痕や擦過痕等が確認できますが、中古品にありがちなベルトバックル痕やエッジ部の塗装欠けなどなくなかなか綺麗な状態。Keith Richardsの仕様を倣った本機ですが、フロントPUとリアPUのバランスはよく、様々なジャンルで活躍してくれると思います。

サウンドチェック。

クリーン。アンプはFender Vibro King、シールドケーブルはBold Cable Solid、アンプ直。

フロントのハムバッキングPUは太い音だけでなく、ボリュームを絞るとシャープな音像になります。なかなか表現の幅が広いです。

クランチ。歪はWEEHBO Effekte JTM Drive。

 

先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。

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Gretsch G6119 Chet Atkins TenNessEe Rose 2009年製美品!(Sold Out)

グレッチの人気モデル、Chet Atkins Tennessee Roseの2009年製、使用感少ない美品!

Gretsch G6119 Chet Atkins Tennessee Rose、カラーはDark Cherry Redです。2009年製、前オーナーさんは屋内で少し弾いていた程度でメッキ部のくすみやよく見ないとわからない程度の小傷はあるものの、全体的に使用感は少なく、製造から10年経過している中古品としては「美品」と言っても良いかと思います。改造などはされていませんが、今回の出品にあたり、基本的な調整に加えてローポジションのフレット上にわずかに凹みが生じていたので軽くフレット擦り合わせを行い弾きやすさを高めてあります。

Gretcshは同じモデル名でも仕様が細かく異なるものが多数存在します。本機はボディ厚は2.5インチ、本物のfホール、High Sensitive Filter Tron PU、正確なオクターブ調整が可能なアジャスタブるブリッジ(Adjusto-Matic Bridge)、コントロールは各々のPUのボリュームにマスタートーン、マスターボリューム、PUセレクターとなており、ヴィンテージスタイルのG6119-1962に比べてモダンで扱いやすいスタイルとなっています。

サウンドチェック。まずはクリーン。アンプはFender Vibro King、シールドケーブルはBold Cable FATでアンプ直です。

 

クランチ。歪はWEEHBO Effekte JTM Drive。

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ギターボディに描かれた手書きペイントの保護塗装例

ギターボディに描かれた美しいペイントを保護するためオーバーラッカーを実施。

 上画像のギターボディの美しいペイントは職人さんの手書きによるもの。元々このボディはポリ系の塗装がされており、ペイントはボディ表面に(接着ではなく)付着しているだけの状態でしたが、持ち主さんとしてはこのギターは記念品的なもので、演奏はせず保管されていたとのことでペイントを施してからもかなり時間経過しつつも一部がはがれたのみで良好に保たれていました。しかし、今後もこれを維持していくにあたってはやはりペイント表面をコーティングする方が有利なので、今回当店で保護塗装をさせていただきました。

 ペイント保護は勿論、好きなアーティストに書いてもらったサインなどを保護する目的でも同じ手法が可能です。もしこのような処置をお考えの場合は遠慮なくお問い合わせください。

今回はペイント部のみでなくボディ全体をラッカーでコートしています。元々のポリ系の塗装は他の塗料をそのまま重ねて塗装しても「付着」するだけで下地と保護塗装部は「接着」はせず、簡単にはがれたりする恐れがあります。なので、保護塗装前にペイント部以外の目地調整(塗装する面にやすり掛けを行い細かな凹凸をつくり、上に塗る塗装の付着力を高める処置)を行ってからクリアを吹き付けています。
 エアブラシでペイントされたギターは時々見かけますが、このような手書きのものは珍しいと思います。花びらや葉の陰影がとても美しく、画像では分かりにくいですが、描くのに使われた塗料は厚みをもって塗装されていてそれが立体感の演出に一役買っているように思います。筆で描いたことによる独特の味わいというのでしょうか、とても芸術的。左側の葉と枝、蔓に少しはがれてしまった部分がありますがこれはもともとです。保護塗装をしないままだとこうした剥がれがどんどん広がる恐れがありました。
 
 保護塗装の塗料は調整したラッカー塗料をスプレーガンで吹き付けていきますが、いきなり大量に吹き付けてしまうと折角のペイントがラッカーによって融解してしまい美しい陰影や立体感が失われたり、最悪の場合図柄そのものが崩れてしまう恐れもありますので、最初はごく薄く、瞬時に乾燥するように気を付けて少量のクリアラッカーを吹き付け、時間をおいて様子を見つつ数回にわたって吹き重ねています。今回塗装した塗膜の厚みは一般的なトップコートに比べればかなり薄いものになります。これによって、ペイント部分の質感などもしっかり浮き出てくれました。
どの角度から見ても美しい図柄です。蛍光灯の映り込みを見ると、ペイント部が少し浮き上がっていてペイントのない部分に比べ凹凸があるのがわかります。これはもともとのペイントの塗料の厚み、刷毛塗りで生じる細かな凹凸からくるものですが、この絵の味わいの重要な要素でもあると思います。
塗装後にペイント部以外はある程度の平滑性が出るように研磨を加えて全体のバフ掛けを軽く行っています。ペイント部はその味わいを生かすために研磨はせず、軽くバフ掛けを加えただけの仕上げです。この画像でも蛍光灯の反射を見るとペイント部分とそうでない部分の平滑性が異なっているのがわかると思います。保護塗装を厚くすればペイント部も含めて全体をもっときれいな鏡面に仕上げる事も可能で、エアブラシで描いたペイントやサインなどを保護する場合はそのように仕上げても良いかと思います。

今回は「記念品的なギターで演奏はせず保管しておくもの」との持ち主様の意向があり、音のことは重視せずにオーバーラッカーしていますが、演奏するギターに今回のような塗装に手を加える処置をする場合は、施工前後で音質が変化することに留意する必要があります。基本的に塗装は木材の振動・鳴りを抑える作用を持ち、逆にいうと余計な鳴りを抑え込み全体の音色のバランスを整えるという効果も持ちます。つまり塗装を見直すことである程度音色のコントロールが可能で、例えば「音が軽すぎる、暴れすぎる」といった性質のギターの塗装の上にさらに塗装を加えることで「落ち着いた、まとまった音」に近づけられたり、「鳴りがおとなしすぎる」といったギターにエイジド加工(塗装をはがしたり割ったりすような加工)を加えることで「元気な音、木材の鳴りがより強く出た音」に変化させられる可能性があります。勿論施工前に完全にどういう音に変化するかを確定できることではなく賭けでもある手段ですが、ギターの音色を変化させるために塗装に手を加えるというカスタマイズもアリかと思います。具体的な方法としては今回のようなオーバーラッカー、塗装自体をやり直すリフィニッシュ、使用感を演出したエイジド加工などがあります。これらも対応可能ですのでご興味あれば遠慮なくお問い合わせください。