70年代中期Fernandes Fretless PB Typeのレポート

珍しいメイプル指板のフレットレス仕様。

 お客様のご依頼でメンテナンスさせていただいたFernandesのPB Typeのフレットレス仕様です。ロゴから70年代中期のものであるのは間違いないかと思います。持ち主様はフリマアプリで見つけてご購入されていて、そこではFPB-50BLと案内されていたようですが、当時のカタログには掲載のない型番で詳細不明。カタログにはフレットレスモデルが掲載されてはいるのですが本機とはどうも違うようですし、おそらくは既存モデルを基本にしたカスタムオーダーではないかと推察しています。メイプルネックにバインディング付きの貼りメイプル指板、フレットラインはない仕様。弦長はポジションマーカーの位置から一般的なロングスケールより若干短い851mm(約33.5inch)くらいの設計と思われます。指板面はポリ系の塗装がされています。ボディ材はよくわからなかったのですが、やや赤みのある散孔材でラワンのような雰囲気の材でした。今回当店ではネック調整等の基本調整に加えナット溝の修正、PU以外の電気パーツの入れ替え・再配線、ピックガードの止めビスの交換、折れてしまったビスのサルベージとねじ穴修理などです。

メンテナンス後のサウンドチェック動画。

まず指弾き。

 

ピック弾き。

 

ボディはオーソドックスなプレべスタイル。ピックガードのビスが数本折れてしまっていたのをサルベージして穴を補修の上で新しいビスに交換。
ボリュームとトーンはガリが激しくそのままではNGだったので新しいパーツに交換。POTはCTS Custom POT A250kΩ、キャパシタはセラミックディスク、ジャックはSwitchcraft #11 Mono Jack、ケーブルはCloth Wireを採用。PUからのケーブルと弦アース線は元々のまま。
指板は貼りメイプルで表面には一般的なポリ系と思われる塗装がされています。弦はだダリオのブラックナイロン。フレットレスには相性の良い弦かと思います。コーティング弦なので弦アースが効きにくいという欠点もありますが、気になる場合はシールド処理を施せばよいかと思います。弦高は弦長の1/2の位置(フレットのある場合の12フレット付近)で1弦2.4mmくらい、4弦3.0mmくらいにセッティング。
ヘッド。このデザインのロゴは77年以前だそうなので70年代中期のものでしょう。50年近く昔の製造の割にきれいな状態です。ナットは元々交換されていたようで弦を収める溝の深さが浅すぎたりそこの頂点が複数あったりなどがたがたでローポジションの弦高も高すぎたので修正を加えました。

非常に珍しい仕様が興味深く、持ち主様にご許可を頂いて今回レポートを掲載させていただきました。

本レポートをアップした2023年4月15日、ネット上では本機の画像等を無断流用して販売ページをでっち上げている詐欺サイトが複数あるようです。非常に珍しい機種で探してもそうそう見つかるものではないので、本記事でご興味を持たれた人やもともと古い国産フレットレスを探していた人は思わずポチらないようにご注意ください。そういった詐欺サイトは振込での支払いのみが多いようですが、当然支払ってしまったお金は帰ってこない上、品物も永遠に届きません。こうした悪質でせこい連中は法整備を厳格にしてさっさと撲滅していただきたいものです。


 

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