オーバーホールした1979年製 FendEr Stratocatser、Seymour DUncan SSL-4

1979年製Fender Stratocasterのオーバーホールを行わせていただきました。

上画像は当店でオーバーホールした1979年製のFender Stratocaster。ネック順反り補正の指板修正とフレット交換、電気パーツの新調、フロイドローズタイプのロックナットに改造されていたのを木部補修しスタンダードな牛骨ナットに復帰などが主な施工内容。今回チョイスされたPUはでっかいポールピースでおなじみのSeymour Duncan SSL-4のストラトサウンドのサンプルとして動画を撮らせていただきました。

アンプ直のクリーン。アンプはFender Vibro King。SSL-4は「ハイパワーで太い音」という紹介内容が独り歩きしているようで「シングルコイルらしくない」と思っている方も多い印象がありますが、ちゃんとシングルコイルな音です。

 

セッティングを変えてもう一本クリーン。輪郭を際立たせる目的でアンプの前にWEEHBO Effkte JTM Driveを薄くかけています(Gain 30%くらい、Level高め)。

 

クランチ。歪はWEEHBO Effkte JTM Drive(Gain 70%くらい)

 

先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。

PUはSeymour Duncan SSL-4、VolumeはCTS Custom POT A250kΩ、ToneはCTS Vintage Style POT A250kΩ、キャパシタはOrange Drop 716P 0.047μF、スイッチはOAKの5wayです。VolumeとToneでPOTを変えているのはトルクの違いで分けています(手が当たりやすいく動いてしまいやすいVolumeはやや硬めのトルクのCustom POT、その心配が少ないToneはトルクが軽くオリジナルと同じ仕様でもあるVintage Style POT)。画像はないのですがサーキット回りはしっかりシールド処理を施しました。SSL-4は構造上ノイズが盛大に出そうなイメージがありますが、回路上のPU以外の部分も結構ノイズを拾うのでしっかりシールド処理することで全体のノイズはかなり抑えることができます。トレモロのオクターブビス、弦高調整ビス、ピックガードのビスは全て新調。アームバーは極太のロングサイズですがこれはもともと交換されていました。ただ、太いアームを無理やり取り付けていたようで取り付け穴が傷みアームのぐらつきがひどかったので取り付け穴を少し掘り下げねじを切り直しました。これによりがたつきはだいぶ解消されました。
フレットはナロージャンボタイプに交換。もともとされていたロックナット改造に問題があったのとアンバランスな状態で長期間放置されていたためネックは盛大に順反りしていました。トラスロッドの調整のみでは対処しきれなかったので指板修正でつじつまを合わせています。ローポジションとハイポジションは結構な量指板の切削をしましたが幸い本機のネックはかなり厚みがあったので問題なし。指板ハイポジションに黒いシミが見えますが、これは元々施されていたスキャロップ加工の痕。かなり切削したのでスキャロップはほとんど消失し単なる黒い汚れのように見えています。フレット交換に際して指板の塗装もやり直していますがヘッド部分などと比べて綺麗になりすぎないように敢えてサテン仕上げにし、色も少しムラを付けました。ネック裏はオリジナルの塗装のままですが、指板に合わせてサテン処理し弾きやすくしています。
ナット部分をみると指板が張られているように見えますが、牛骨ナットの下から右側だけが木部補修で新しく貼り付けたハードメイプル材です。当店持ち込み時はナットはフロイドローズのロック式に改造されていたのですが、今回s多んだーどな牛骨ナット仕様へ復帰させた結果の「ナット部分だけ貼りメイプル」というわけです。
この時期のストラトのトラスロッドナットは弾丸型ですが、本機は画像のような少し細いタイプに交換されていました。 これはロックナットに交換した際に構造上、砲弾型ナットは入らなくなってしまったために導入されたものですが、このトラスロッドナットは砲弾型よりもかなり短く、トラスロッドをわずかしか効かせることができないものだったため、順反りを十分に矯正できないまま長期放置していたために余計に反りが促進していたのだと推察しています(大きな反りを放置すると余計に反りが進行しやすい)。今回砲弾型に戻すことも検討したのですが前述の指板切削で径の太い砲弾型を納めるにはスペースに余裕がない(新たに取り付けた牛骨ナットの底面中央にトラスロッドナットが当たってしまう)ので断念。代替策としてスペーサーをかませてトラスロッドナットを締めることで問題解消しました。ちなみにナット幅は約40.5mmとかなりのナローネックで、ナット上の弦間はストラトとしてはかなり狭い6.8mmで調整しました(50~60年代中盤までのストラトやその復刻機、現行のモダンなストラトではナット幅42~43mmくらい、ナット上の弦間は7.0~7.2mmが多いと思います)。

以上、1979年製ストラトのオーバーホール例でした。古いギター、長く放置していたギターの復帰をご検討の方、ご参考にしていただければ幸いです。 

2021年はコロナ渦にもかかわらず多くのお客様にHeavy Gauge Guitarsをお引き立ていただき誠にありがとうございました。2022年度も何卒よろしくお願い申し上げます。

Heavy Gauge Guitars店主

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