市販のエレアコピックアップに外付けボリューム&トーンを追加した例:K.Yairi YSB-1

ボリュームの操作性確保のために外付けのコントロールプレートを取り付けたK.Yairi YSB-1。

エレアコなどに使用するピックアップにはプリアンプもセットでボリュームなどのコントロールも搭載されていますが、コントロールがショルダー部やサウンドホールの縁に搭載されていて演奏中の細かな操作するのに向かない、どちらに回すとどう変化するかが把握しにくいということがあります。足元のボリュームペダルなどで操作する方法もありますが、今回はL.R.Baggsの人気ピックアップであるAnthemを搭載したK.YairiのアコースティックフレットレスベースYSB-1のオーナー様より「現場で頻繁にボリューム操作するのに不都合なので操作しやすいボリュームを追加できないか?」というご相談をいただき、上画像の通りサウンドホール縁に外付けコントロールプレートを取付ける方法で解決。元々のご依頼ではボリュームの追加というお話でしたが、せっかくなのでAnthemには搭載されていないハイカットトーンも追加させていただきました。

以下詳細。

 YSB-1はカタログ掲載モデルですが、今回のものはオーダー品で視認性の高いフレットラインとポジションマーカーがある点が通常機と異なっています。オーダー品ということもあり、なるべくボディに穴を開けるなどの処置をせずに対処できないか検討、自由に取り付け取り外しができるコントロールプレートを制作して取り付けるということになりました。サウンドホールの位置やブリッジの高さなどもそうした仕様に向いていました。
 制作した追加コントロールプレート。左のノブがハイカットトーン、右がボリューム。プレート部はYSB-1のサイドバックのオバンコール材に模様が似ていたボコーテ材を選択。材表面は樹脂コーティングを施した上でYSB-1のマットな仕上げに合わせた艶消し仕上げにしました。プレート下にマホガニーの板材でシールドボックスを設け、その中にPOT等を納めています。
 コントロールプレートを裏側のシールドボックス。上面のジャックが楽器のアウトプット側へつなぐ出力、右側面がAnthemのプリアンプアウトからの入力ジャックになります。
 ボックス内は小スペースなので小型部品でまとめています。オレンジ色の部品はハイカットトーンのコンデンサーで、事前に実験して容量を決めています。今回はフレットレスベースで高域少な目の楽器であることもありコンデンサーの容量は0.12μFとかなり大きめを選択していますが、それでもトーンの効きはマイルドです。
 追加プレートの取り付けは専用のクランプ(これも当店で制作)を介して行います。これによりボディに穴を開けたり粘着テープを貼ったりしなくて済みます。勿論取り付け取り外しも簡単です。取り付け手順は①クランプを先にサウンドホール端に固定、②ケーブル類差し込み③コントロールプレートをクランプの所定位置にねじ止め。
 コントロールプレートのねじ止め位置は側面2か所。目立たない位置です。
 コントロールプレートを取り付けたところ。このコントロールは電気的にはプリアンプとアウトプットジャックの間に位置します。勿論、元々のAnthemのコントロールも操作可能で、本レポート最後に乗せたsサウンドチェック動画でもAnthemのブレンダーをコントロールしていますが、本カスタマイズの本旨は「現場ではAnthemのコントロールは固定、外付けコントロールで操作」です。
 弦、ブリッジ、コントロールプレート上のボリュームとトーンの位置関係はソリッドボディのベースのそれに近くなっています。

 最後にサウンドチェック。Anthemはピエゾとtru-micというマイクの組み合わせができるピックアップシステムですが、動画前半はピエゾ側、中盤はtru-mic側、終盤は両者ミックスでチェックしました。

 

 今回のカスタマイズでは「楽器本体は勿論、ピックアップ/プリアンプシステムには加工は加えず、簡単に元の状態に戻せる」というのもポイントです。

 同様のカスタマイズは一般的なアコースティックギターではYSB-1のように追加コントロールプレートを取り付けるのに都合の良い形状ではないことが多く、ボディに穴を開けたりする必要が生じるなどハードルが高いと思われますが、例えば元々搭載されていたピックアップシステムが故障し交換しなくてはならない、もともとピックアップシステムを搭載していない純粋なアコースティックギターやアコースティックベースにピックアップシステムを搭載する場合など「操作性の確保」の観点からあえて今回のように別途ボリュームやトーンを増設したいというケースもあるかもしれません。Heavy Gauge Guitarsでは必要に応じてご相談に応じておりますのでその場合は遠慮なくご連絡ください。

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