日本製のCharvel Dinky、エレキギターでは珍しいウェンジネック仕様。
上画像は当店でメンテナンスさせていただいたCharvel MJ Dinky DK24 HSH EMAH Naturalです。型番の意味するところは「日本製の24フレットネックのディンキー、ピックアップはHSH配列、エボニー指板にマホガニーボディ、材の木目を生かしたナチュラル仕上げ」といったところでしょう。ウェンジ材のネックは先駆者のwarwickをはじめIbanezなどのベースでは導入されて久しいですが、ギターでは珍しい仕様で興味深かったのでご依頼主様にご許可を頂いた上でレポートを残させていただくこととなりました。ご興味ある方は以下ご覧いただければ幸いです。
ボディトップは落ち着いた木目のウォルナット突板がいい感じで、ゴールドパーツも似合っていると思います。2点支持のシンクロタイプトレモロはGOTOH製。コントロールは1Vol、1Tone、5Wayセレクター。配線はやり直したのですが（後述）、それによりセレクターのポジショニングはブリッジ側から「リアPU」⇔「リアPU＋センターPU」⇔「センターPU」⇔「センターPU＋フロントPU（コイルタップ）」⇔「フロントPU」にさせていただきました。
ピックアップはSeymour Duncan製。リア側からTB-10 Full Shred Trembucker、SSL-6 Custom Flat、APH-1n Alnico 2 Pro。APH-1nは市販されているものと異なり両コイルともにアジャスタブルポールピースになっており、見た目もオリジナルのヴィンテージスタイルではなく同社のモダンハイパワーハムバッカーと同じデザイン。本機のための特注でしょうか。
当店持ち込み時は部品交換・再配線されていたのですが、配線や部品の不良と思われる出力信号の劣化が見られたので今回のメンテナンスでピックアップ以外の電気パーツを一新、再配線。元々はこの手のギターでよく見られるスーパースイッチ（4回路5接点スイッチ）を用いた凝った配線でしたが、本機の現所有者は最近ギターを始めたばかりということもあり通常の5wayスイッチ（OAK製）で直感的にわかりやすい組み合わせの配線に変更（ポジショニングは前述の通り）。POTはCTS Custom POT A500kΩ、トーンのコンデンサーはOrange Drop716p 0.022μF、ジャックはSwitchcraft Mono Jack #11と定番のパーツをチョイスしています。
ボディ材はマホガニー。Charvelディンキーシェイプはストラトシェイプに比べてシャープでやや小さめですが、弦長はFenderと同じレギュラースケール。ノーマルストラトだと日本人のような小柄な体格には大きすぎると感じることがありますが、そんな人にはディンキーはピッタリかも。Guthrie GovanもCharvel使ってましたが、彼も小柄です。
ハイポジションへのアクセスの良さは特筆です。こういったヒールデザインはモダンなハイエンドギターでよく見られますが、本機の場合ネックジョイント部が通常のストラトよりもハイポジション側になっているのもハイポジションの演奏性の高さに寄与しています。これもディンキーならではの長所だと思います。
ギターでは珍しいウェンジネック。オイルフィニッシュで仕上げらていて滑らかな手触り。 ナット幅は一般的な42mm、厚みはどちらかと言えば薄い気がしますが、あえて言えばノーマル。ただ、ハイポジション側までアクセスしやすいので全体を弾いた印象はやはりスリムに感じます。フレットはこの手のブランドではおなじみの幅広ジャンボタイプ。指板はメーカー紹介では「streaky ebony」という見慣れない名前になっています。見た目から縞黒檀（Macassar Ebony）かと思いましたが、別種のエボニーで縞模様が入っていることから名付けた名称なのかも。
ヘッド。表側はウェンジ風の突板が貼られています。ウェンジ材は導管が大きく、ブランドロゴをきれいにプリント（デカール？）するのに不都合でもあるので妥当な仕様だと思います。ペグはGOTOHのロック式。1~4弦はストリングリテイナーが配されていますが、今回トレモロの調整をしている中で1弦以外はチューニングの安定性確保に邪魔だと判断して1弦のみリテイナーを介して張っています。ナットはタスク製。
サウンドチェック。まずはクリーン。アンプはFender Vibro King、エフェクトなし。
クランチサウンド。歪はWEEHBO Effekte JTM Drive。
先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。
