石ロゴ期 Fernandes フレットレスベースFJB-65Jジャコパスモデル

Fernandesのジャコパス風のフレットレスジャズベースをメンテナンス。

 上画像は基本調整や電気部品の総入れ替え再配線等でお預かりした石ロゴ期(1980年前後)のFernandesフレットレスジャズベースです。めったにお目にかかれない機種なのでご依頼主にお許しいただいて以下記事にさせていただきます。

 当時のカタログには「ジャコパス愛用のフレットレスベースをモデルに制作」と紹介されていた機種ですが、カタログ掲載の仕様と少し違っていて本機は21フレット仕様(フレットレスですが・・・)となっています。ネックポケットは通常の20フレットのものと同じようで、結果的にネック、ブリッジは少しヘッド側へ位置しており、それに伴って2つのピックアップは通常のジャズベースタイプよりもブリッジよりになっていました。通常の20フレット仕様とボディは共用でブリッジ位置のみ変更して21フレット仕様にしていたのでは・・・。フレットレスの場合、やはりメロディアスなフレージングをしたいところですが最高音がEまで出せる本機はかゆいところに手が届く感じです。

以下詳細

ボディ材は当時の国産ギター、ベースで多用されていた栓材。前述の通りブリッジが通常のジャズベースよりもボディ内側に位置しピックアップがブリッジに近いのがわかります。指板はローズウッドのラウンド貼りでRは6インチ、かなり丸みが強いです。そのためフラットなジャズベースタイプのPUでは1,4弦が比較的弦に近くなりやすいため2,3弦に比べ1,4弦の音が大きく出やすい面があります。今回ピックアップはBartoliniの9S L/Sに交換しています。
ブリッジはもともとチタン製のプレートに交換されていたのですが、弦アースの確認でプレートを外す際にビスが一本折れてしまっため折れたビスのサルベージ、ねじ穴の補修の上で元よりも太く、長さは少し短いビスでの固定に変更しました。
 画像左はねじ穴を補修してアースもやり直したところ。今回のチタンブリッジプレートは片側5本のねじ止めのため一般的なアース線を挟み込む形だとプレートのネック側が浮き上がったりするので画像のようにアルミテープを介しての接続に変更。矢印の箇所はビスが折れてボディ内部に残ってしまったのをサルベージした後でボディ材と木目の方向が同じになるように制作した専用栓(今回はアッシュ材で制作)で埋木してあります。ねじ穴の補修ではホームセンターなどで入手できる丸棒で埋める方法がよく知られていますが、当店ではブリッジ固定部やネックジョイント部の補修の場合は補修箇所の木目(木材の繊維方向)を揃えて振動の伝わり方の変化をなるべく抑えることと、強度を稼ぐためにこうした処置をお勧めしています。ピックガードのビス穴などそれほど固定強度が必要ない箇所は丸棒を使用する方法でも十分だと思います。
 画像右は元々ブリッジプレートの固定に使用されていたビス。右端の黒ずんでいるのが折れてしまったビス。ボディ内部から取り出すのに専用の自作工具を使用するのですがそれを使用する際に摩擦熱が発生するので脂がついて黒くなっています。ブリッジを固定するビスにしては細すぎるように思いますがこうしたビスが力のかかりやすいブリッジやストラップピンに使用されている例は結構あります。勿論しっかり固定できていればそれでよいのですが、細く長いビスは奥まで締める際や抜く際にねじの強度を超えたトルクがかかってしまいやすく、それほど錆びていなくても今回のような折れも比較的起こりやすいです。
PU以外の電気パーツもすべて新調。POTはCTS Custom POT A250kΩ、コンデンサーはセラミックディスク、配線材はCloth Wireでオーソドックスなスペックです。ジャズベースのように金属プレートにボリューム等が固定されている場合はプレートを介してアースが取れるのでアース線を省略することも多いですが、パーツが緩んだ際にアースの接触不良が起こりやすい面もあるのでアース線も配線、しっかりはんだ付けしています。
ジャパンヴィンテージファンにはおなじみの石ロゴ。

には画像は取り忘れてしまったのですが、元々の状態ではブリッジサドルはべたべたに低いのに弦高は異常に高い状態だったのでネックポケットにシム(本機専用に制作)を仕込んでネックジョイント部の角度を修正、これによってブリッジサドルが適切な高さになる位置で調整できています。また、本機のネックには結構な歪みも生じていて、特にハイ起き傾向が顕著でそのままでは10フレット付近からハイポジションでは極端なバズ、音詰まりが頻発していたためハイポジション側の指板修正も加えてあります。これによって音詰まりは解消、バズも問題ない程度まで軽減。

メンテ終了後のサウンドチェック↓

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