フレット交換を行ったSquare Rod の70年代製造S.Yairi

1970年代のS.Yairi YD401のフレット交換を行いました。

上画像は当店でフレットとナット、ペグの交換をやらせていただいた1970年代製造のS.Yairi YD-401です。スクエアロッド仕様でトップのスプルースは単板、サイドバックはマホガニー合板のようです。70年代のS.Yairiと言えば井上陽水をはじめとする当時の日本のアーティストに愛用されていたことで知られておりジャパンヴィンテージのファンの間でも人気があるようです。スクエアロッド仕様だとネック調整ができないので、個体によっては反りが過度に進んでしまっていて弦高も異常に高いなど実用性に乏しいものもあるのではないかと想像できますが、今回メンテさせていただいた本機は指板の乾燥・荒れ、フレットの摩耗・浮き、ペグの動作不良などはありつつネックの反り具合は比較的良好で、若干の指板修正でいい感じの弾き具合に仕上がりました。今回はご依頼主の意向を踏まえてなるべくコストは抑え、演奏性を買う補するのに最低限のメンテナンスとして前述メンテを行いました。

サウンドチェック、まずは指弾き。

ピック弾き。

ボディトップはスプルースの単板。製造から40年以上経過し、塗装は痩せクラックが発生しています。色合いもかなり焼けが入っていて貫禄があります。
今回は手を加えなかったブリッジ部ですが、以前のオーナーさんが弦高を低くするためでしょう、かなりサドルを削ってありました。正直なところ削りすぎではあり、もう少しサドルの高さがあれば特に1弦は音の伸びがさらに良くなる可能性が残っています。ブリッジピン穴からサドルに向けて溝が掘られているのはサドルを低くしたことに対する対策でしょう。画像で分かる通りサドルの横幅はブリッジベースの溝より少し小さくこここにも改善の余地が残ります。ただ、今回はご依頼主の意向もあり演奏するのに最低限のメンテにとどめ、サドルの作成は見送っています。今後必要に応じてサドルを交換するなどしても良いと思います。
ボディバック。合板とはいえ、杢がとても美しいマホガニーが使われています。蛍光灯の反射部に塗装の補修をした痕がありましたが、製造からの経過年数の割に状態は保たれています。
ネック調整ができない仕様ですが、反りは軽度でフレット交換に伴って少しだけ指板修正することでかなり弾きやすい状態にできました。弦はPhosphere BronzeのLight Gaugeをレギュラーチューニングで張っています。現在弦高は1弦12フレット2.0mm、6弦は2.5mmになっています。この手の古いドレッドノートタイプギターとしてはかなり低い弦高だと思います。今回の打ち替えたフレットが元々の摩耗したフレットに比べると0.4mmくらい高いこと、指板の修正も行ったことなども影響していますが、前述の通りサドルがかなり削られていますが、その影響は大きいように思います。
新しく打ったフレットは国産のナローハイタイプ。画像には写っていませんがナットは牛骨無垢材から削り出しで制作。
ヘッド。元々はオリジナルのペグが付いていましたが、動作不良やペグを止めるビス穴が破損している箇所があったため実用性を考えてGotohのロトマチックタイプに交換しました。修理コストを抑えるためにオリジナルのペグを止めていたビス穴は補修せずそのまま残してあります。

スクエアロッド仕様の場合、ネック調整ができないためフレット交換やフレット擦り合わせが難しくなりますが、当店ではこうしたネック調整が効かないタイプのギターのフレット交換、擦り合わせもお引き受け可能です。遠慮なくご相談いただければ幸いです。

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