中古ギター・ベースの出品前のメンテナンス例:Gibson SG Standard 2000年製

すでに売り先が決まっている2000年製のSG、メンテナンス内容を紹介。

画像のSGは2000年製のGibson SG Stnadardです。すでに売り先が決まっているのですが、中古品として販売する前にどういったメンテナンスを加えているかの例として紹介します。興味がある方は以下ご参照ください。

メンテ前。買い取ったときに点検はしていますが改めて全体チェックし、問題を抽出します。本機の場合、外観は各部に傷、擦過痕等あり、汚れが乗っている箇所もありましたが20年前に製造されたギターとしてはかなり綺麗な状態でした。しかし、フレットには浮きや押弦による若干の凹みがあり高さがそろっておらず、ビビりや音づまりが出る状態。指板は乾燥してカサカサ、毛羽立ち生じていて手触り×。さらにブリッジが少し変形しておりRが指板Rとあっておらず弦高バランスがうまく取れません。総じて演奏性は悪い状態でした。トラスロッドやペグなどの動作は問題なし。電気パーツは一部にガリが出る状態。
メンテ前ヘッド。経過年数の割にメッキのくすみは少ないですが、それもでもニッケルメッキの表面はくすんでいます。動作は問題なくお掃除だけで済みそうです。
メンテ前のネック、指板。乾燥してカサカサで毛羽立ちが出ている箇所も。ナット溝の深さのバランスが若干悪く1,2弦の1フレットの弦高が他より若干高い状態。フレットは摩耗は少ないのですが、ローポジションは少し凹みができており、他の部分には若干浮いているフレットが散在、全体的に高さがばらついているので音づまりやビビりがでやすくい状態。ネックのコンディションは演奏性に大きな影響を与えるのでできるだけシビアにチェックします。
メンテ後。指板もフレットもペグも綺麗になりました。フレットサイドも形を整えなおして手触りが良くなるようにしました。多分フレットサイドの仕上げについては新品時より良好なくらい。ヘッドはメッキ部は研磨剤でクスミを取り、塗装部は塗膜用の研磨剤で磨いて汚れを取り除きました。
メンテ前のフレットの状態を拡大。フレットが全体的にくすんでいるのがわかります。この状態だと弦との摩擦が大きいためビブラートやチョーキングがやりにくく、なおかつ音自体が伸びにくくなります。さらに摩擦が多いことでフレットの摩耗も早く進みやすくなります。指板の色がやけに薄くなっている箇所は元々ローズウッド材に多く含まれている脂分が抜けすぎて乾燥しすぎた状態。画像では分かりにくいですが毛羽立ちもみられ手触りは悪いです。フレット脇には堆積した汚れが固着して不潔でもあります。指板がこうした状態だとフレット浮きといった厄介なトラブルも起きやすくなります。実際本機も数か所のフレットが若干浮いている状態でした。
メンテ後の指板。毛羽立ちを除いて表面を滑らかにした後で専用のオイルやワックスなどでコンディショニングすることでローズウッド本来の色合いが戻り手触りもいい感じになりました。メンテ前と全く様子が変わっていることがわかると思います。フレットは浮いた箇所の修正後に軽く擦り合わせを実施、若干みられた凹みを解消、全体的なフレットの高さもそろえなおしました。切削量自体は極わずかで全体的なフレットの残量は十分あります。また同時にフレット脇に固着した汚れも取り除き、フレットを鏡面仕上げ。フレット表面が滑らかになり、各フレットの高さも揃ったことで本来の鳴りとサステインを取り戻します。実際に演奏性は新品に負けないくらいになったと思います。
メンテ前のブリッジとPU。ブリッジサドルは青錆が乗っています。この画像だとわかりませんが、ブリッジ中央部が若干へこんで(沈んで)しまっており、ブリッジ部でのRと指板のRが合っていない状態。当然これも演奏性に悪影響を与えます。ABR-1タイプなどGibsonタイプのブリッジではよく見られる症状ですが、本機については軽度といったところ。他にはピックアップのメッキに若干クスミが出ていますがメッキの状態は20年経過した楽器としてはかなり保たれている方で仮にこのままでも中古品としては綺麗と言えるくらい。
メンテ後。画像右上赤矢印のブリッジベースの中心が外側より若干低くなっていますがこれ自体は補正はできません。このため指板よりブリッジ部のRが緩くなっていますが、サドルの溝の修正で弦のRを整えました。今回は1~3弦、6弦のサドル溝を少し掘り下げることでつじつまを合わせました。今回のように変形が軽度でまだしばらくは使って行そうな場合はこういったメンテを加えてオリジナルパーツを維持することが多いですが、変形がひどいものは基本的にブリッジごと交換した方が良いと思います。ブリッジサドルは錆や浮いたメッキをできる限り除去しました。メッキそのものを落としてしまって下のブラス材が見えているサドルもありますがこれは腐食したメッキを残しておくよりこの方が良いと考えてあえてそうしています。さらに今回はサドル溝の修正で結果的に1弦サドルの溝が新品時よりも深めになったので「サドル部の弦の角度」を稼ぐためにブリッジベースの弦が当たる部分に溝を作成(黄矢印)しました。
メンテ後のボディトップ。塗装部は塗膜用の研磨剤で再研磨を加えて汚れを取り除き、ワックスがけを行い表面の艶を取り戻しました。実は塗装部表面に堆積した汚れもギターの振動を邪魔をする要素になるので、こういったクリーニングを行う事でも楽器本来の鳴りを取り戻す一助になると考えています。
メンテ後のボディサイド。トップ同様、綺麗で清潔な状態になりました。
ボディバックも同様に研磨クリーニング&ワックスがけ。ボリュームなどの電気パーツは若干のガリがありましたが、今回は接点洗浄材でのクリーニングのみの応急処置で済ませました。こういった電気パーツは放置されていた期間が長いものは劣化が顕著にみられることもあり、ひどい場合は基本的には交換します。本機はそこまでの状態ではないのですが、安心を得るという意味では新品パーツにしても良いと思います。ただ、はご購入予定者様が購入後にPUの交換も考えておられるとのことでその時にすべて入れ変える方が合理的と考え見送っています。

サウンドチェック。アンプはFender Vibro Kingです。最初にクリーン。

クランチ。

先のクランチをゲインブースト。

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