YAMAHA のセミアコの修理及びピックアップ交換をやらせていただきました。SA-1200Sという型番で1980年製、見た目はセミアコのスタンダードGibson ES-335に近いですが、ボディの木材が変わっていてトップはアコースティックギターでおなじみのソリッドスプルース、バックは楽器材としては珍しいカバとブナの合板。そのせいか弾いた感触はES-335やYAMAHAのほかのセミアコとはちょっと違った個性を感じました。今回載せたピックアップはSeymour DuncanでフロントSH-2 Jazz、リアSH-1 59です。
サウンドは以下の動画の通り。
クリーン。アンプはFender Vibro Kingでエフェクトなし。
クランチ。歪はWEEHBO Effekte JTM Drive。
先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。
今回の依頼は「音が大きくなったり小さくなったりする」という症状の修理と「PUの交換」、フレット擦り合わせなどのメンテナンスでした。電気部分で明らかな問題があったのはボリュームやトーンのPOTだったのですが、製造から40年近く経っているギターで現在問題ない他電気パーツも劣化は進んでいるはずで、加えてセミアコの電気配線は構造上かなり手間がかかり料金もお高いので、どうせなら他のパーツも一緒に交換してすっきりするということで、すべての電気パーツを交換することに。POT類とジャックは信頼のおけるCTSなどのUSAパーツにしましたが、コストも抑えるために持ち主様にこだわりがない部分のトーンのコンデンサは国産汎用品のフィルムコンデンサ(1個¥100)、スイッチも国産、ケーブルはあまり歪んだ音では使わず、ノイズは気にならないとのことでノンシールド、Belden8503で配線しました。
ピックアップは定番Seymour Duncan SH-1とSH-2を選択。持ち主様はピックアップ交換は初めてとのことでかなり悩まれていましたが最終的に前述に落ち着きました。ピックアップ交換は「交換してみないとわからない」という面が強く、だれもが選定に悩むものですが、今回はどのような音楽をやっているかを伺った上でよくある例を紹介したり、当店にあるギターの音を確認してもらうなどを行って絞り込みを行い、絞った候補からお客様が最終的に選定しています。選定のポイントは以下3点。
①実績のあるもの(PU交換の賭けの要素を減らしたい)。いろいろなサウンドに対応しやすいもの。
⇒PAF系のスタンダードなピックアップ。
②あまり激しい歪は重視しない(必要ない)
⇒歪重視のハイパワー系は却下。
③SA1200Sのオリジナルと同じくシングルコイルサウンドも使用
⇒4芯構造(相談の上、パラレル切り替えを採用)
といった具合。ピックアップ交換は「交換してみないとわからない」ものではありますが、やはり定番はありますし、お客様がどんな音を目指しているかやバンド内でどんな役割を担っているか、今の音にどんな不満があるか、使っているギターや機材の特長・特性などからかなりの絞り込みができることも多いです。お悩みの方は遠慮なくご相談ください。
そういえば以前、別のお客様から今回のYAMAHA SA-1200Sとは同型で木材構成が違う機種SA-700のPUをSeymour Duncan SH-1 59×2に交換させていただいたこともありました(下の動画)。