Fender Japan JM66-65(フジゲン期)rebuild

90年代前半のFender Japan ジャズマスターをリビルドさせていただきました!

こちらはお客様のご依頼でリビルドした90年代前半のフジゲン製造のFender Japanジャズマスターです。元々の状態では摩耗と劣化、破損などでとても演奏に耐える状態ではありませんでしたが、リフィニッシュや指板修正、リフレット、電気パーツ新調&ステルスセンターPUを組み込んだスペシャルサーキットの導入を行い生まれ変わらせることが出来ました。

以下、ご参考までにリビルド内容等紹介いたします。

ボディの元々の状態。画像では分かりにくいですがトレモロ部はアームバー差し込み部が破損してしまっていて使用できない状態。元々の色は綺麗なサンバーストですが、今回のご依頼は「キャンディアップルレッド極薄ラッカー塗装に!」だったのでこの後塗装を剥がしました。
塗装を剥がして表面の木地修正まで済ませたところ。ボディ中央部にステルスPU のための新たなザクリも加えています。
側面から見たところ。すんごい柾目です。
この頃のFender Japanジャズマスターのボディ材はセン。現代ではイマイチ人気のない材ですが実は経年変化を経るとなかなかいい感じの鳴りに育ってくれる固体もあります。また、今回の個体は通常は板目で使用するところ柾目で使われているという点が珍しいものでした。
リフィニッシュを終えて電気パーツの組み込みの途中。ステルスピックアップは専用のエスカッション(エボニー材から削り出しで制作)でセット。ステルスピックアップは弦との距離の都合上どうしても感度が弱くなるのでピックガード裏にザクリを加えボディ表面より少し飛び出したセッティングができるようにしました。またステルスPUはやはり感度を稼ぐために高出力なSeymour Duncan SSL-4を採用。POTはCTS Custom POT A500kΩ、ハイカットトーンのキャパシタはOrange Drop 716P 0.022μF、ジャックとトグルスイッチはおなじみのSwitchcraft 。プリセット切り替えのスライドスイッチは今回のスペシャル配線のために採用したものですが、秋葉原電気街を探しまくっても必要な仕様のものはなく結局海外から取り寄せました。見た目は通常のJazzmasterと変わりませんが実は異なるサイズ・規格でそれらに合わせるためにピックガード自体も本機専用で制作しました。
 完成したボディ部分。画像では分かりにくいですがリフィニッシュはラッカーで極薄塗装で行っており木材の質感が少し浮き出る仕上がりになっています。
 リア&ネックPUはご依頼主持ち込みのSeymour Duncan Antiquity Jazzmaster1。今回の配線のポイントはセンターのステルスPUによってサウンドを多彩にしつつ、使い勝手は通常の2PUのギターのようになっているところ。プリセットサウンドへの切り替えスイッチを3wayにして、真ん中がノーマルモード、上側がハムバッキングモード(シリーズ接続)、下側がハーフトーンモードと切り替えますが、すべてのモードで3wayトグルスイッチのポジションチェンジは2PUのギターの感覚で行えます。名付けて「3×3 way control system」。
 プリセット部のコントロールはスライドスイッチによる3wayのモード切替のみでオリジナルのJazzmasterではプリセットボリューム・トーンとして機能するホイールは配線せずダミーになっています。これらホイール部にも機能を加えるアイディもあるのですが複雑になりすぎないようにするため今回は採用見送り。
 ブリッジはオリジナルのものは再利用が厳しい状態だったため新調。また、細かいところですが、3,6弦サドルのオクターブビスは少し短いものに変えています。これはJazzmasterの構造上、オクターブビス先端が弦に干渉しやすいことへの対処です。
 トレモロユニットはFenderの刻印がある表側のプレートのみ残して中身は国産の新しいユニットに換装。
ネックもかなり手を加えました。まず、フレットはジャンボフレットへ交換。その際指板修正、指板Rはローポジション側はオリジナルの7.25inchより若干小さく、ハイポジション側は若干大きくなるコンパウンドラジアスに改変、ノーマルの状態よりも弦高を低くセットできるようにしました。さらにネック裏側は小傷や擦過痕の補修と弾きやすさ向上を目的にサテン加工を加えサラサラな手触りになっています。ナットは牛骨無垢材で新調。
専用で制作したシムを挟んでネックをセットしています。これによりJazzmasterの弱点「ブリッジ部の弦の屈曲角度が緩すぎてサステインが伸びにくく、弦落ちしやすい」を軽減。シムはウォルナット材で制作。Jazzmasterは構造上、シムが有効かと思いますが、ネックポケットの先端に小さいシムが数重に重ねて入れられているのをよく見かけます。それだとハイ起きが起きやすかったり、十分な角度がつかなかったり(だからシムを何枚も重ねてしまうのだと思われます)しますが、画像のようにネックポケットのPU側1/3~1/2くらいのサイズにすると1枚でも十分バランスが取れ、ハイ起きも誘発しません。
ヘッド。擦過痕などありましたが、仕上げ研磨をやり直すことでここまできれいに復活。ペグも綺麗ですがこれも新品ではなく徹底的に掃除したオリジナルのパーツです。勿論動作もOK。ストリングリテイナーは錆がひどかったので新調。

サウンドチェック。まずはクリーン。アンプはFender Vibro Kingでエフェクトなし。Normal Mode→Humbucking Mode→Half Tone Modeの順で弾いています。

クランチ。歪はWEEHBO Efekte JTM Drive。Normal Mode→Humbucking Mode→Half Tone Modeの順で弾いています。

先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。Normal Mode→Humbucking Mode→Half Tone Modeの順で弾いています。

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