1ピース ローウッドネックTL Thinline Type

メンテでお預かりしたコンポーネントTLシンライン。珍しいローズウッドネック。

1ピースローズウッドネックのTL Thinline Typeをメンテナンスでお預かりしました。珍しい仕様なので、レポート。

大まかな仕様は以下の通り。

アッシュボディ、ホロウ構造、ハードなエイジド加工

1ピースローズウッドネック、21フレット、無垢牛骨ナット、クルーソンペグ

Joe Bardenブリッジプレート&ブリッジ(ブラスサドル)

Fender Custom ShopのPUビルダーJosefina CamposのTwistedTele PU、CTS Custom POT(A250kΩ)、Jupiter Capaciter(0.05μF)、Cloth Wireによる配線、4点レバースイッチ(通常の3点のポジション+シリーズ接続)

本機は既製品ではなく、持ち主様がこだわりぬいたセレクトのパーツを集めて組み立てられたコンポーネントギターです。ヘッドにFenderのロゴは貼ってありますが、これは遊び心で張ったもの。ネックは米国の有名パーツブランドのFenderライセンス品。ボディも同様でエイジド加工も加えたうえで組み上げられています。今回ネック回りのメンテナンスでお預かりして、当店でフレット擦り合わせとナット交換(Task製を無垢牛骨製に)と全体的な基本調整をさせていただきました。

音の傾向としては軽やかでシャッキリした感触。アッシュボディのギターは個体差が大きく、音色の典型傾向は一つではないですが、経験的に本機の音もシンラインタイプでは典型サウンドの一つかと思います。ローズウッドのネックという特異性もありますが、とびぬけてメイプルネックシンラインタイプと差がある感じではありませんでした。しいて言えばメイプルネックよりもすっきりした音像のようにも思いました。

サウンドチェック。まずはクリーン。アンプはFender Vibro King。アンプ直。EQは少し中低域側の強調にセット。

 

クランチ。歪はWEEHBO Effekte JTM Drive。

 

先のクランチをXotic BB Preampでゲインブースト。アンプの前だと少しハウリングするくらいのゲイン設定にしています。

アッシュ材のホロー構造ボディ。ホロウ構造によって通常のソリッドボディよりはかなり軽量になり、音の方も軽やかな傾向化と思います。この傾向はハードなエイジド加工で木材の鳴りが素直に出やすくなっていることも影響していると思います。
フロントPUのマウント方法が通常のシンラインではピックガード吊り下げですが、本機はソリッドのヴィンテージテレキャスターボディのように直付けになっています。ブリッジはマニアックなテレキャスターアップグレードパーツで知られるJoe Barden。サドルはブラス。
電気部分。Fender Custom ShopのPUビルダーJosefina Campos氏のハンドワイアリングによるTwisted Tele PU。PUキャビティはアルミテープでシールド処理されています。POTはCTS CUSTOM POTの250kΩAカーブ、コンデンサーはJupiter Capaciter 0.05μF、ケーブルは典型的なCloth Wire。
ピックガードはヴィンテージを意識した仕様で側面テーパーが緩めになっています。
ボディバック。ベルトバックル痕も再現されています。
今回当店でメンテナスさせていただいた1ピースローズウッドネック。塗装は木材の質感が表面に浮き出るほどの極薄で手触り良好。握りは通常のCシェイプ、厚みも普通。フレットはミディアムサイズくらいで、今回フレット浮きの修正と擦り合わせを当店で実施。
ナットは元々Task製(あるいは似た樹脂製?)がついていましたが持ち主さんのお好みの牛骨無垢材で作り直しました。ペグは現行のクルーソンでこちらもエイジド加工がされているように見えます。

弦はDaddario EXL110 (10-46)をレギュラーチューニングで張っています。弦高は1弦12フレット1.5mm、6弦は2.0mmにセットしています。指板Rはヴィンテージタイプより緩めでもっと低い弦高にもできますが、そうすると音が軽すぎる感じだったのでこの弦高に落ち着きました。セレクタースイッチは4点式でネック側からシリーズ(リアとフロントの直列接続)、フロント、Mix(フロント+リアの並列接続)、リアとなっています。ノーマルのサウンドは勿論ですが、シリーズ接続の高出力の音も使いどころがありそうな音でいい感じです。

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