フレット擦り合わせの例 Before/After④、今回も②③に引き続きレスポールタイプです。今回のレスポールはGibson Custom Shopの54年モデル。かなり弾きこまれたギターでフレット交換が行われている上にすべてポジションにわたって摩耗、押弦による凹みができているという演奏性にもかなり難アリな重症でした。上の画像は7フレットの擦り合わせ前と後の比較で一番減りが顕著だった箇所。このポジションの擦り合わせ前の凹みのない箇所でフレット高さが1.2mm弱、フレット擦り合わせ後は1.1mmくらいに仕上がっています。なるべく削量が少なくなるように時間をかけて丁寧に擦り合わせを行い、すり合わせ前の凹みの底部の高さと他の部分が同じになるように擦り合わせています。これによって押弦時の指先と指板の距離は変わらず、押さえた感触に違和感はありません。勿論、フレットの形も整え、全体の凹凸もなくなることで演奏性は劇的に向上しています。
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フレット擦り合わせ Before After ②
以下の画像は先日当店でやらせていただいたレスポールタイプのフレット擦り合わせの一例です。元の状態はフレット擦り合わせの必要性としては「危急性はないが、やった方がより良い」という程度で、フレットの減りや凹みの程度としては「軽度」と言ってよいギターでした。
このギターは90年代国内有名メーカーでの製造、現オーナーさんが新品で購入、購入時の価格は実売価で10万円を少し切るくらいだったとのこと。購入後はそれなりに弾いていたものの、ここ10年くらいは弾かれず長期間しまってあったそうです。今回、久しぶりに練習再開したことがきっかけとなりメンテナンスで当店に持ち込まれました。前述の通り元の状態のフレット摩耗度は「軽度」で、弦高を高めにする場合はすり合わせしなくてもまだしばらく大丈夫なくらいでしたが、「せっかく練習再開するのでより弾きやすい状態にしたい」ということでフレット擦り合わせを行ったという経緯です。フレット擦り合わせをすればより弾きやすくなるのは勿論ですが、凹みがある状態の方がフレットの摩耗も早いので、「できるだけフレットを長持ちさせたい」といった場合も有利(勿論すり合わせで不必要に多くフレットを削らないことが前提)です。勿論今回のご依頼主もフレット擦り合わせ後の弾きやすさの向上を強く感じておられました。
今回は「フレット摩耗度軽度」でのフレット擦り合わせの例でした。ご自身のギターでフレットの減りはそうでもない気がするけど、音のばらつきやビビりが気になる方や「フレットにほんの少しだけ凹みができていて弾きにくいわけではないけどちょっと気になる」といった方は今回のケースに近いと思いますので積極的に擦り合わせを検討しても良いと思います。逆に、本例くらいの摩耗で弾いていて全く気にならない場合や、「フレット擦り合わせせず、限界まで使ったらフレット交換する」といった考え方、予算の都合ですぐにフレット擦り合わせはできない方は弦高などのセッティングを見直すのみでそのままの状態で弾き続けても良いかと思います。もっとも、こういった判断はフレットの全体的な摩耗量だけでなく、その偏り(一般的によく弾くポジションの減りの方が早い)、ネックの反り具合、ナットの摩耗量、そのネックの振動の傾向などなどいろいろな要素によっても変ってくるので、フレットの減り具合だけで判断できないことも留意する必要があります。「自分では判断できない」という方も多いかと思いますので、そういった方は遠慮なく当店にご相談ください。
以上、メンテナンスするかどうか悩まれてる方のご参考にしていただければ幸いです。