S. Yairi YD-304 1975年製 ¥99,000(税込)

 人気のジャパンヴィンテージ、S.Yairi YD-304!

 1975年製と思われる日本製S.Yairi YD-304です。井上陽水氏の使用で知られた機種でトラスロッド無しのドレッドノートスタイル、ボディトップはスプルース単板、サイドはローズウッド合板、マホガニーネックにエボニー指板という仕様です。トップのみ単板の仕様は全単板仕様に比べて下位というイメージはありますが、経年変化を経たものの中には驚くほどの鳴りに育つこともありますし、重要な振動部(ピアノで言えばサウンドボード)であるトップは単板にしつつ、サイドバックは安定性の高い合板仕様はガンガン弾き込みたい人やライブなどに積極的に持ち出したい方には適した仕様かと思います。

 前オーナーさんは本機を新品で購入後しばらく弾いていたものの、その後長期間弾かないまま最近まで保管されていたとのこと。外観はある程度の使用感、ローズウッド部分の塗膜に薄く白濁が視認できるものの致命的な損傷はなく50年前のギターとしては比較的良好な状態を保っています。当店入荷時点では長期放置による乾燥のためかフレットの浮き上がりが散見され、サドルやナットにも調整の余地も多くあり弾きにくい状態だったのですが、今回の出品に際して各部調整しなおすことで、良好な演奏性を確保してあります。もともと定評のあるこの時期のS.Yairiですので元が良かったというのも大きいと思います。

 陽水ファン、日本製S.Yairi(メーカー時代のS.Yairi)あるいはジャパンヴィンテージファンの方、トラスロッド無しネックのサウンドに興味がある方、弾き語り用のドレッドノートタイプをお探しの方など幅広くおすすめできる一本かと思います。

 サウンドチェック。まずピック弾き。ピックはJimDunlop Derlinのティアドロップ1.5mm厚。

 

指弾き

 

 ボディトップはスプルース単板。サウンドホールのピックが当たる箇所の塗装剥がれの他、打痕や傷も散見されますが致命的なものなく50年前の製品としては比較的良好な状態です。
 画像中央付近の塗装剥がれを伴う打痕は小豆粒くらいの大きさ。そのままにしておいても問題はないかと思います。
 ブリッジピンはエボニー製(オリジナルかどうかは不明)。ブリッジピンを納める穴からサドル方向には溝が彫られており、弦がサドルを押さえつける力を稼いでいます。サドルは元々は1弦のみ弦高が低め(12フレットで1.8mmほど)でほかの弦はやたらと高くなっていてオクターブ、演奏性ともにアンバランスだったので今回の出品にあたって2~5弦の弦高を適正に下げることと合わせてオクターブをできるだけ合わせた形に切削修正しました。
 ボディサイドは合板のローズウッド。塗膜は全体的に薄く白濁が見られますが使用上問題はありません。
 ボディバック。サイドと同様薄く白濁が出ておりローズウッドの部分はそれが視認できます。YD-304はいくつかの仕様変遷があったそうで本機のようにバックの中央がフレイム杢の材、外側はブックマッチのローズウッドというパターンとセンターでブックマッチしたローズウッドのみのタイプがあったようです。いずれも合板仕様です。美しいフレイム杢が目を楽しませてくれます。
 ネック。トラスロッドは入っていない仕様ですので、現在と異なるゲージ弦、チューニング(11~、10~といった細い弦を使いたい方、張力の低いオープンチューニングやダウンチューニング)にしたい場合は再調整が必要な可能性がありますのでご留意ください。トラスロッドが入っていないことが扱いが難しいととられやすい面はありますが、多くのクラシックギターはそもそもトラスロッド無しがデフォルトですし、トラスロッドが入っていないからこそのサウンド、ネックの振動があり、それこそが本機の魅力でもあります。同様の仕様はマーチンでも知られています。
 当店入荷時、指板は乾燥し、フレットの浮き上がりが散見されました。出品にあたってフレットの再プレス、フレット浮きの補修の上で擦り合わせを行いました。また、乾燥でややあれていた指板は表面の研磨仕上げをやり直しすることで滑らかな手触りを確保。現在の弾き心地は良好です。
 ローポジションに押弦による指板の凹み(摩耗)が見られます。フレットは当店入荷時には押弦による凹みがわずかに見られるくらいの摩耗だったのでフレットすり合わせを経てもまだ弾き込める状態。もともと小さめのフレットではあるので、高め、大きめのフレットがお好みの方はしばらく弾き込んでからフレット交換をご検討されても良いかと思います。いずれにせよまだまだ長く弾き込んでいけると思います。
 ナットはおそらくはオリジナルのものです。各弦の溝の深さのバランスが崩れていたので出品に合わせて修正をしてあります。
 ヘッド。小傷や擦過痕、エッジ部の凹みなど使用感が見られますが中古品としてはまずまずの状態に保たれています。ペグはシャーラー製となっており動作は良好。
 ボディ内部に貼られているSADA YAIRIのプレート。現在もS.Yairiはブランド名のみ残っていて海外生産の比較的リーズナブルなギターとして認知されていますが、この時代は純国産ギターメーカーS.YAIRIとしてギターをリリースしていました。両社は全くの別物として見る必要があります。
 付属のハードケース。ケースの裏側などにシールが貼られています。新品購入時のタグが残っており、価格が¥80,000となっています。50年前の¥80,000は現代の価値にすると軽く倍以上の額になると思います。勿論、50年という経年変化という+αもあります。

 弦はDaddarioのPhosphere Bronz EJ16 Light Gauge(12-53)をレギュラーチューニングで張ってあります。弦高は1弦12フレット約1.8mm、6弦が約2.5mm。トラスロッドがない仕様ですが、この状態でネックはほぼストレート(ごくわずかに順反り)となっています。

⇒ ご質問・ご相談等はこちら!

⇒ ご注文方法、送料等について!

⇒ 下取りご希望の方はこちら

 

お願い

 ご購入検討のための試奏は大歓迎です。ただ、当店予約制で先約の方がいらっしゃるときに飛び込みでいらっしゃるとかなり長時間お待ちいただかなければならなくなることが多いので事前にご予約の上でご来店いただければ幸いです。

 当店は転売目的の方、代理購入の方とのお取引はトラブル防止のため固くお断りしております。そういった目的でのお問い合わせ、ご注文はご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です