現在も続くハイエンドギターブランドSHECTERの歴史は長く、誕生は70年代にまでさかのぼります。スタートからしばらく後、苦難の時代を経て、1987年に日本人経営者によってカスタムショップブランドとしてUSAカリフォルニアにて新たなスタートを切ります。それからは破竹の勢いで世界を席巻しました。

80年代、90年代と言えば「コンポーネントストラト」と呼ばれるハイスペックなストラトタイプが流行し、SHECTERを始め、Vally ArtsやMoonなどのブランドがこだわり抜かれた仕様のストラトタイプを制作、人気を博していました。

本機は「カスタムショップブランド」としての当時のSHECTERがパーツの一つ一つにまでこだわり抜いて制作した気合いの入った一本です。

ボディは当時高級機でよく使われていたウォルナット。手触りも良く、木材の音が最も生きると言われるオイルフィニッシュによって仕上げられています。

ネックには美しいバーズアイメイプルが使用されています。

フェンダーでは指板に使われることのないエボニーも高級機でよく使われる材。真っ黒で目の詰まった木目です。指板Rはこの時代にはまだ多くなかったコンパウンドラジウス（1F9.5R～22F12R）です。

ペグはポストの高さが高音弦と低音弦で異なるタイプが使われています。現代でもエリックジョンソンストラトキャスターなどに使われているタイプで、ナット部の弦の押し付けのテンションを稼ぐためのリテイナー（ストリングガイド）が不要になっています。

トレモロもFenderのそれとはかなり異なります。音響特性が優れていると言われているブラス製のサドル、プレート。軽量でギターの鳴りを豊かにする効果が期待できるアルミ製のトレモロブロック。ねじ山の崩れや変形の心配が少なく、鈍い光沢が渋いステンレスのアーム。Fenderのストラトの構造をとりつつも、各パーツにこだわり抜き、よりハイエンドなサウンドを目指したことが伺えます。

コントロールは１Voume 1Tone、５Way Switch。ボリュームはフェンダーよりも離れた位置にセット、演奏中に手が触れてしまう欠点を考えての配置でしょう。Toneはフロントとセンターのプッシュプルタップスイッチになっています。ピックアップはSHECTERの傑作ハイパワーピックアップMonster Toneですが、このスイッチにより低出力のシングルサウンドも得ることができます。

サウンドはハイエンドブランドらしい煌びやかなものですが、もともとハイパワーなMonster Toneによりかなりハイゲインで太い音までをも守備範囲としています。つばだし22フレットのネックはチョーキング時の音づまりが少ないコンパウンドラジウスで非常に弾きやすく、あらゆるジャンルの演奏でスムーズな運指を約束してくれるでしょう。

動画

クリーン

クランチ

クランチをゲインブースト

Fenderにはない落ち着いた高級感のある外観と、操作性、あらゆるジャンルを一本でこなすフレキシビリティを備えた80年代SHECTERの傑作コンポーネントストラト、中古で出ることはほとんどないと思われます。

全体に打痕や、傷など散見されますがもともと木質を生かしたオイルフィニッシュのためそれほど気にならないと思われます。ゴールドパーツのメッキはくすみが出ています。コントロールノブは元々ゴールドだったものが経年変化と使用による摩耗で下地が出ていますが、かえって使い込まれた貫禄を演出しています。サドルはブラス製で音質を重視しあえてメッキはしていないパーツです。当店入荷後にしっかり磨き上げ、新品時の輝きを取り戻しています。

ネックは現在ストレートでトラスロッドの余裕も十分。電気パーツもすべて完動で、ガリなどもありません。

幅広いジャンルで活動している方、最近のハインエンドブランドとは違う、人とは違う一本を求めている方、Fenderとは異なる、より現代的な仕様のストラトタイプを所望の方、もちろん80年代、90年代のコンポーネントギターのファンにもお勧めします。

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