ボディトップは2ピースのプレーンメイプル。ややダークな赤みのサンバーストが渋いです。強い塗装部表面ににいくつかの小打痕、小傷、メッキ部のメッキ浮や弾き傷が見られますが製造から40年以上経過していることを考えるときれいで前オーナーさんが大事にしていたことがうかがえます。ブリッジは日本製のABRタイプに交換されていて、古いLPタイプにありがちなサドルの摩耗はわずかです。また、トグルスイッチは接触不良が見られたので今回の出品にあたって国産の新品に交換いたしました。また、PUエスカッション、ピックガードのビスは錆が激しかったため新品に交換してあります。PUの吊り下げビスは劣化は許容範囲内だったのでオリジナルのまま(勿論クリーニングはしてあります)。ピックアップ。直流抵抗値はフロントが実測で7.8kΩ、リアが8.0k。クリーンからハードなドライブサウンドまでこなしてくれます。サイド。中古ギターにありがちな大きな塗装欠けのような致命傷はありません。ピックガードは経年劣化のためか変形が見られます。マホガニーの塗装部の一部に塗装の白濁が見られます。ボディバックのマホガニーは贅沢な1ピースです。トグルスイッチやコントロールキャビティ、ジャック部のパネルのビスは錆が激しかったので新品に交換いたしました。ネック。裏側のマホガニー部には画像では分かりにくいですがいくつかの傷、小傷など使用感がありますが、大きな塗装剥がれやねじれなどの致命傷はありません。指板は色の濃いローズウッドで、Rは一般的な円柱ではなくローポジションからハイポジションに向かって緩やかになるいわゆる「コンパウンドラジアス」になっています。1975年当時は「コンパウンドラジアス」という言葉は一般的ではなかったかと思いますが、古い国産ギターでこういった指板を時々見かけます。手作業で指板を仕上げる際に各弦ごとに直線をしっかり出すようにしていた結果そうなっていたのではないかと推測されます。バインディング側面が一般的なレスポールタイプに比べて丸く仕上げられています(右画像矢印の箇所)。これは古いギターや現在でも工房製のギターで時々見かける仕様ですが、これにより握り込んだ際のネックサイドの抵抗感が少なめになっています。前オーナーさんはかなり弾きこんでいたようで当店入荷時のフレットはかなり摩耗していました。また、最近は弾かれずにしまわれていた期間も長かったようでフレットの浮きやバインディングの剥がれ、ポジショーマークの剥がれなども見られたため今回の出品にあたって、バインディング・ポジションマーク剥がれの補修・際接着、フレットとナット交換及びそれに伴う指板修正を実施、演奏性はしっかりメンテナンスされた新品に負けないかと思います。新しく打ったフレットは国産のミディアムサイズとなっています。ナットは牛骨でナット幅は約42.0mmヘッド。堂々と「Les Paul MODEL」と印刷されているのはこの時代まで。塗装部には小傷程度の使用感はありますが、製造からの経過年数を考えるとかなり綺麗と言ってよいと思います。ペグは70年代に流行したグローバーが搭載されています(Grover 104C)。表側のワッシャーにメッキの劣化、剥がれがみられますが(特に1弦)ペグ本体のクロームメッキは綺麗に保たれており動作も問題ありません。ペグを止めるビスのみ錆が結構出ていたので新しいステンレス製のものに交換しています(オリジナルのビスも一応残してあります)。当時のグローバーペグは現行品と仕様が違いがあるせいか、中古パーツで¥30,000以上の値がついていることもありますが、この点は古いギターのマニアの方にとってはポイントかも。トラスロッドカバーは前オーナーさんは画像右下の3点止めも使っていたようで、ねじ穴も開いています。このビスもステンレスの新しいものに替えさせていただきました。 付属のハードケース。おそらく1975年当時別売りだったものでレスポールタイプをしっかり保護・保管できるように設計されたもののようです。ネック調整用のメゲネレンチと3点止めのトラスロッドカバー、前オーナーさんが新品で購入された当時の書類も残っています。当時の保証書から本機の型番「FLG-100」と購入日が昭和50年の9月11日であることがわかります(画像では個人情報を塗りつぶしています)。