フレットすり合わせ

フレットすり合わせの納期、費用

フレットすり合わせのお預かり期間は便宜上2週間前後いただいておりますが、期間短縮も可能です。必要に応じて遠慮なくご相談ください。費用計算は次の通りです。

 「フレット擦り合わせ基本料金(下表)×フレット数」+「基本調整Standardコース料金」+「各オプション料金+弦代」

表:フレットすり合わせ基本料金(1フレット当たり、税別、赤字は学割料金)

ニッケルシルバーフレット 高耐久フレット※1
摩耗量小~中 摩耗量大※2
6弦ギター

4弦ベース

¥600

¥480

¥700

¥560

¥800
7弦ギター

5弦ベース

12弦ギター

¥700 ¥800 ¥900
8弦ギター

6弦ベース

¥800 ¥900 ¥1,000

フレットすり合わせの作業内容・手順

当店の「フレットすり合わせ」は以下の作業で構成しています。

  1. 浮き上がっているフレットの再プレス・再打ち込み(これで浮きが解消しない場合は後述オプション2~4を施工)※3
  2. フレットの高さを揃えるための切削加工
  3. フレット頂点幅調整および断面形状修正切削※2
  4. フレット両端の面取り加工※2
  5. フレット表面鏡面研磨仕上げ
  6. 基本調整Basicコース(必要なオプション含む)

フレットすり合わせに係るオプション     (税別、赤字は学割料金)

  1. セットネック・スルーネック・アコースティックギター:+¥2,000(+¥1,600
  2. ローズ・エボニー等無塗装指板フレット浮き補修・固定:基本料金¥300×フレット数(¥240×フレット数)+再プレス後の浮き1フレットにつき+¥200(+¥160)※3
  3. メイプル指板などの塗装指板のフレット浮き補修・固定:基本料金¥200×フレット数(¥160×フレット数)+施工1フレットにつき+¥400(+¥360)※3
  4. 浮いたフレットを抜いてR修正の上で打ち直し(可能な場合のみ):1か所につき+¥2,000(+¥1,600
  5. 摩耗量甚大フレット(幅2mm未満のフレットで高さ0.7mm以下、幅2.2~2.6mmのフレットで0.8mm以下、幅2.7~3.0mmのフレットで0.9mm以下):1フレットにつき摩耗量大の料金+¥100(6弦ギターの場合フレットすり合わせ基本料金1フレットにつき¥800となります)※4
  6. 0フレット仕様+¥2,000(+¥1,600
  7. ナット溝調整:1か所につき+¥500(+¥400

以上にない処置等についても遠慮なくご相談ください。

※1)各社ステンレスフレット、Jescar社evolutionフレット等。

※2)フレットすり合わせの作業には「フレット上面を適切な幅にそろえ断面形状を整える加工、面取り加工」が含まれます。この作業はフレットが低いほど、幅が広いほど難しい作業になるためある程度以上摩耗が進んでいるフレットの擦り合わせの料金は通常よりも高い設定となっております。擦り合わせ前の一番低いフレットの高さ(フレット上の凹み底面から指板表面あるいは塗膜表面までの距離)が幅2mm未満のフレットで0.9mm以下、幅2.2~2.6mmのフレットで1.0mm以下、幅2.7~3.0mmのフレットで1.1mm以下については摩耗量大の料金とさせていただきます。このくらいの摩耗量になるとお好みによってフレット交換をしてしまった方が予後も良く満足度が高くなってきますのでご予算とお時間に余裕があればフレット交換をするのもお勧めです。

※3)フレットの高さがそろっていない主な要因が摩耗であるのはよく知られていますが、実は「フレット浮き」も主要因の一つです。浮いたフレットをそのままでフレットを削って見かけ上は高さを揃えても、浮いている個所を押弦すると沈み込むことがあったり、固定が弱いためさらに浮き上がってきたりなどが起こり音詰まりや過剰なバズ音を出してしまいます。そのため、フレットすり合わせにあたっては「浮いたフレットがない状態ですり合わせすること」が絶対条件になります。

※4)ここまで摩耗しているフレットはすり合わせではなく交換するのが基本的な考え方ですが、「オリジナルのフレットを維持したい」「予算の都合」などのご事情がある場合は極端に摩耗しているフレットでもすり合わせを承ります。ただし、フレットワイヤーは内側ほど摩耗しやすくなること、※2で説明の通り低いフレットほど加工が困難になるためフレット上面幅も広めにせざる得ず、やや鈍い音質、音程になりがちである点、高さのあるフレットに比べて顕著に押弦時の抵抗感が強くそのまま使用を続けると指板がえぐれて来やすい点等留意する必要があります。

ご参考:フレットの摩耗量とすり合わせで削る量について

演奏によってフレットが摩耗する量は実測の数字にすると実はかなり小さなものになります。中古ギターの販売記事などで「フレット残量〇割」といった表記をよく見かけますが、実測値に基づいた表記ではないことがほとんどなので注意が必要です。実際にフレットが0.1mm削れた場合、その形状は新品時と明確に変化しており見た目もそれとわかる状態になっています。目立つ凹みが生じていればビブラートやチョーキングがやりにくくなりますし、上面の幅が広くなりすぎれば音質・音程も怪しくなってきます。ここまではフレットすり合わせで十分解消でき、まずまずの演奏性も確保できる余地があります。

摩耗量が0.2mmとなるとフレットすり合わせをして演奏性を改善することはできるものの新品時とは弾き心地に顕著な差が残り、新品時に比べて顕著な弾きにくさを感じる方も多くなります。0.1mmという量は普段の生活ではほとんど気にならない誤差程度のものですが、ギター・ベースの調整において0.1mmは演奏性を大きく左右する量です。新品のフレット(指板に打ち込む前のフレット)の高さは低めのフレットで1.0mm~1.2mmくらい、高めのもので1.3~1.5mmです。つまりフレットの摩耗は実測で1割程度でも演奏性に影響・支障を与え、実際に演奏者からみても「かなり減った気がする」と感じるのが現実です。逆に、多少弾き込んだところでそう簡単にフレットが1割2割と摩耗するものでもなく、0.1mm摩耗するまでにはそれなりにがっつりと弾き込む必要があるとも言えます。ただし、お手入れが行き届いていないギター・ベースではフレットが曇っていて表面の摩擦抵抗が大きいので摩耗は早まりますし、押弦によってわずかでも凹みが生じている個所もビブラート等の抵抗が大きい分摩耗しやすくなっています。さらに初心者などで押弦に余分な力がかかりがちな方だとそれらはより顕著になります。いずれにしても少し凹みが生じたくらいでもフレットすり合わせをしてきれいな面に修正した方がその後の摩耗スピードは抑えやすく、結果的にフレットの寿命も長くなると言えます。

当店ではフレットすり合わせで実際に切削する量(切削後に低くなる量)をできるだけ少なくなるように丁寧な作業を心がけており、フレット上面にわずかに凹みが生じているようなケースなら0.05mm未満、はっきりと凹みが生じているケースなら0.05~0.1mmくらいの切削量に収まることが多いです。それ以上削らないと必要な面・直線が得られない場合でもフレットすり合わせは可能ですが、施工後の演奏性・耐久性を考慮するとフレット交換してしまった方が良いケースが多くなってきます。

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