
上画像は基本調整や電気部品の総入れ替え再配線等でお預かりした石ロゴ期(1980年前後)のFernandesフレットレスジャズベースです。めったにお目にかかれない機種なのでご依頼主にお許しいただいて以下記事にさせていただきます。
当時のカタログには「ジャコパス愛用のフレットレスベースをモデルに制作」と紹介されていた機種ですが、カタログ掲載の仕様と少し違っていて本機は21フレット仕様(フレットレスですが・・・)となっています。ネックポケットは通常の20フレットのものと同じようで、結果的にネック、ブリッジは少しヘッド側へ位置しており、それに伴って2つのピックアップは通常のジャズベースタイプよりもブリッジよりになっていました。通常の20フレット仕様とボディは共用でブリッジ位置のみ変更して21フレット仕様にしていたのでは・・・。フレットレスの場合、やはりメロディアスなフレージングをしたいところですが最高音がEまで出せる本機はかゆいところに手が届く感じです。
以下詳細



画像右は元々ブリッジプレートの固定に使用されていたビス。右端の黒ずんでいるのが折れてしまったビス。ボディ内部から取り出すのに専用の自作工具を使用するのですがそれを使用する際に摩擦熱が発生するので脂がついて黒くなっています。ブリッジを固定するビスにしては細すぎるように思いますがこうしたビスが力のかかりやすいブリッジやストラップピンに使用されている例は結構あります。勿論しっかり固定できていればそれでよいのですが、細く長いビスは奥まで締める際や抜く際にねじの強度を超えたトルクがかかってしまいやすく、それほど錆びていなくても今回のような折れも比較的起こりやすいです。


には画像は取り忘れてしまったのですが、元々の状態ではブリッジサドルはべたべたに低いのに弦高は異常に高い状態だったのでネックポケットにシム(本機専用に制作)を仕込んでネックジョイント部の角度を修正、これによってブリッジサドルが適切な高さになる位置で調整できています。また、本機のネックには結構な歪みも生じていて、特にハイ起き傾向が顕著でそのままでは10フレット付近からハイポジションでは極端なバズ、音詰まりが頻発していたためハイポジション側の指板修正も加えてあります。これによって音詰まりは解消、バズも問題ない程度まで軽減。
メンテ終了後のサウンドチェック↓